アーサー・ランサムの世界 by COOT

『クローディアの秘密』を追って
メトロポリタン美術館へ

1998年7月4日

Since : 1998/12/19
Last update : 2002/01/12

E.L.カニグズバーグ作、松永ふみ子訳、『クローディアの秘密』、岩波少年文庫
"From the Mixed-up Files of Mrs. Basil E. Frankweiler" by E. L. Konigsburg

☆☆☆

ARCの仲間から「ニューヨークへ行くならこの本を」と薦められて、こちらのヤオハンという日本の物ならほとんど何でも売っている店で見つけて手に入れました。さっそくきれいなポリーが読み、COOTも読みました。

ニューヨーク郊外のグリニッチに住む都会っ子の姉弟(クローディアとジェイミー)が、バイオリン・ケースとトランペット・ケースに着替えを詰めて、メトロポリタン美術館へ家出する話です。「メトロポリタン美術館が$225で中世作家の作と思われる彫像のたいへんな掘り出し物を買った」というひとつの新聞記事から着想を得て若いお母さんであり科学者である著者が書いた作品です。

☆☆☆

クローディア達が住んでいたグリニッチからも私の住むチャパカからも、電車一本でマンハッタンの中央駅(Grand Central Station)に行けます。チャパカ駅からは週末は1時間に1本出ていて所要50分です。大人片道$5.5に対して子供はたったの$0.5でした。

クローディア達はお金を節約するために40区画(block)も歩きましたが、COOT一家は途中まで地下鉄に乗りました。クローディアの時代は一人20セントでしたが、今は地下鉄もバスも$1.5です。地下鉄を降りた後はクローディア達と同じ道、マジソン通り(Madison Avenue)を北(北東)へ歩いて80番街(80th Street)で左(北西)に曲がり五番街(Fifth Avenue)へ向かい美術館にたどり着きました。試しに1区画がどれだけあるか歩数を数えたらちょうど100歩くらいでした。40区画だと4000歩、万歩計を付けて丸一日かけて1万歩歩いたことがある方なら一気に4000歩歩く大変さは想像出来ると思います。

美術館の中で、まずイギリス・フランス・イタリアのルネッサンスの間に行って、クローディア達が寝たベッド(ロバート・ダドレイ卿の妻が殺害されたベッド)、マリー・アントワネットの長椅子、大理石で出来た天使の像を探しました。こういう目的を持って美術館を歩くのは楽しいです。本を読んでいないエリカにとっては、COOTときれいなポリーの行動はまったく理解に苦しむ奇怪なものでした。この3つのうち、一つは見つけ、一つは全く同じではないけどそれらしいのがあり、一つは見つかりませんでした。さて、どれがどれでしょう?

それから1階のレストランに行ってイルカの噴水(クローディア達のお風呂)を探しましたが、これはもうすでに無くなっていてそれだけテーブルのスペースが増えている感じでした。ちょっと残念です。地階の軽食堂というのも見当たりませんでした。クローディア達が何時間も隠れたレストランのそばのお手洗いには行きました。

一番面白かったのが、きれいなポリーが「あっ、ここ本の挿し絵と同じ!」と叫んだ場所が2個所あって、どちらもその場で本を開くと、本当に全く同じでした。岩波少年文庫版でいうと、69ページのエジプトの猫と、129ページのエジプトのお墓です。

クローディアになりきってエジプトのミイラや棺を見ていたら、棺の頭のてっぺんにスカラブの絵が書いてあるのを四本モミが見つけて急にランサムの世界に引き戻されました。

マジソン通りと80番街の交差点

いやはや、こんな写真まで撮るとはおめでたいことです。
メトロポリタン美術館の正面玄関
エジプトの猫

本の挿し絵と同じ位置に立っている現代のクローディアとジェイミー
エジプトのお墓

本の挿し絵のページを開いて同じだと喜ぶきれいなポリー

[ return ]