Arthur Ransome page by COOT
Since : 1999/08/30
Last update : 1999/08/30
ディック「でも、あれ、王水に溶けるんじゃないかな」
スーザン「わたしは好きよ」
ティティ「そうだと思った」
聖像さまはこの『あれ』の中に安置されています。
王水はほとんど全ての物を溶かしますが、金属製の物、特に銅製の物が怪しそうです。
スーザンが好きな物なら、調理器具、救急箱等が思い浮かびます。
ティティの言葉はちょっと謎です。これを考えるのは後回しにしましょう。
銅製の調理器具と言えば「やかん」でしょうか。銅のやかんが出てくる場面を探してみましょう。
ディック・スーザン・ティティの3人が揃って登場する巻は、4・6・12巻ですが、ここにトラップがありました。ヒントを3人の台詞の形でまとめてありますが、この3人が出てくる場面だとは限りません。実際に、その場面に出てきているのは、この中ではティティだけです。
ある農場の台所を訪れたティティが、銅のやかんを見て、スーザンが大よろこびするだろうな、と思う場面があります。
2巻『ツバメの谷』 第9章「スウェンソン農場」 P145 「スウェンソン農場の台所の炉だなの上の銅のやかんの中」
年の暮れに開戦し、正月をはさんだ戦いでした。
探すべき物は素直な推理で絞り込めますが、どこを探すかについてはちょっとしたトラップがあるので、そこが明暗を分けました。この戦いで唯一、正解に至らなかった赤薔薇軍は、探す物は正しく推理していましたが、スーザンが出てくる場面に限って探したため、見つけそこなってしまいました。
意識的に推理を間違った方向に導く可能性のある「トラップ」が埋め込まれた初めての問題でした。また、ヒント部分のみをポンと出すのではなく、ヒントの出し方にも演出を考えた初めての問題でもあります。この後、どのバラ軍も、ヒントの仕立て方や演出にもセンスを磨き、独創性を追及することとなります。
この戦いには一つの逸話があります。白バラ軍将軍「きれいなポリー」と赤薔薇軍将軍「COOT」は娘父の関係のため、きれいなポリーが探していた巻がどの巻か分かっていたCOOTは、黒バラ軍も正解との発表とともにどの巻か特定できてしまいました。しかも、きれいなポリーが「『○○○』って王水に溶ける?」との質問をCOOTにしたことで、その巻の中でもだいたいの場所が見当がついてしまい、COOTもこれが正解だろうという場所にたどりついてしまいました。でも、そういう事情だったので、赤薔薇軍が信奉するナンシイの名誉のためにも、COOTはこの戦いから辞退しました。また、COOTときれいなポリーは、その後、お互いにどの巻に隠されていたかを相手に悟られないようにするために、フェイントをかけあったり、いくつか机の上に重ねて探したり等の努力をすることとなりました。
後日、出題軍の紫のバラ軍から「紫のバラアカデミー芸術祭授賞式」において各賞の発表がありました。
ところで、きれいなポリーがいかにして正しい巻にたどり着いたか知ってます?ナント、「どれにしようかな〜」を違う方法で2回やって、2回ともその巻になったそうです。なんという強運!
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