Arthur Ransome page by COOT

「バラ戦争」 第4戦

Since : 1999/08/30
Last update : 1999/09/01

問題

「一緒なのはフロリンではなかったの・・・・
 でも中にはフロリンだってあるかもしれない。
 私にはそこまで分からない・・・・」


解き方

「フロリン」以外には、全くキーワードがありませんから、これだけが頼りです。

「フロリン (florin)」を辞書で調べましょう。いろんな意味がありますが、中でも

などが関係しそうです。

コインが出てくる場所があやしそうです。オランダでの買物、カンチェンジュンガの頂上でケルンで見つけた/ケルンに残したコインなどが、すぐに思い浮かびます。カンチェンジュンガの頂上で見つけたのはflorinではなくてfarthingでした。当時、1フローリン=2シリング=24ペンス、1ファーシング=1/4 ペンスだから、価値もかなり違います。

次に思いつくのは、買物シーンをチェックすることですが、それでは見つかりません。

買物以外でお金を支払う場面に答えがあります。しかも、支払うのは「2シリング」です。支払ったのは2シリングですが、それは1シリング銀貨2枚で支払われたので、問題のような言い回しになっています。(ちょっと分かりにくい言い回しではありますが。)

これは、ある場所を通る時に支払う通行料です。船が通るために橋が開くところです。

「フロリンと一緒」ということなので、通行料の2シリングが入れられた場所に聖像さまもいたということです。

1週間の防衛に成功した青バラ軍から、次の第2ヒントが出されました。

 めぐみには行くあてがなかった。

 とりあえず最寄りの駅への道をとぼとぼ歩いていた。
 駅に着いたからといって、どこ行きの電車に乗るというあてもない。
 潔癖な彼女はミルクの森から渡されていた小遣いさえ置いて出てきたので、今夜どこかの屋根の下で眠れる見込みすらなかった。

 交差点で曲がって駅へ向かう道に入り、・・・・めぐみは凝固した。
 ターミナルへ向かう大通りのはず、・・・だったのだが、目に入ったのは両側に木立の生い茂るまっすぐな道が深い雪に覆われている光景だった。
 「あ」のかたちに口を開いたまま、立ちつくしてしまった。

「すまない。」うしろから声がした。「ぢぉんのいうとおり、きみが自分の選択によってここに辿り着くまで待ったほうがいいのは分かっていた。」
 ふりむくと、妙に老成した印象を与える若者が一人立っていた。
「しかし我々には時間がないのだ。 許してほしい。」
「・・・・」
「驚くのは無理もない。 だが、口は閉じたほうがいいな。 あまり、頭がよさそうには見えなくなる。」
 慌てて、あんぐり開いたままだった口は閉じたが、言葉はまだ出てこない。
「この道をまっすぐに行きたまえ。
 まっすぐ行くためにはフロリンが必要なのだが、それと同じだけの力を持ったものなら全く問題ない。
 そして聖像さま(みよとこしえに)は、その フロリンと同じだけの力 と共にある。」
 それだけ言うと、若者はくるりとふりむき、歩み去ろうとした。
「待って!」めぐみはようやく叫んだ。
「あなた、誰?」
「私は、魔道士 ラ・ハーマ。 光去りしのち光を継いだ者だ。」振り向きもせずにそれだけ言って歩み去ろうとする。
「待ちなさいってば! ここはどこなのよ?!」
 すると、肩から上で振り返って、彼は笑みを見せた。
「ノイエシルド。 ・・・おかしいだろ、「新しい森」だってさ。
 きっと何百年も前、樹が生えはじめたころは新しかったんだろうね。
 じゃ、すまないけど、私は行くよ。
 ついていってあげるわけにはいかないんだ。
 幸運と光の加護を祈る。」

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◆ヒント部分再録◆
 まっすぐ行くためにはフロリンが必要なのだが、それと同じだけの力を持ったものなら全く問題ない。
 そして聖像さま(みよとこしえに)は、その フロリンと同じだけの力 と共にある。」
◆◆再録終わり◆◆

◆◆もうひとつ◆◆
 きっと      樹が生えはじめたころは新しかったんだろうね。
◆◆再録終わり◆◆

 あとのほうのヒントについては、「樹」にこだわらないで下さい。

答え

5巻『オオバンクラブの無法者』 第21章「カム・アロング号とウェルカム号」 P330 「ニューカットのハディスコー橋を船が通りぬける時、つき出されたさおのさきの袋の中」


解説

これは、第2戦であっという間に正解を出されてしまった青バラ軍が、その反動で「難問」をねらったものでした。

「もしかしたら……と思ったら片っ端からメールされることをお薦めします。」とのことだったので、各バラ軍は、たぶん違うだろうなあと思われる場所でも片っ端から攻撃しました。答えに自信がなくても取りあえず攻撃してみて反応を見る、という戦術がこの戦いで生まれ、その後もよく使われるようになりました。特に、正解のはずがない攻撃を数多く集中して行うことを「機関銃掃射」と呼びます。

この頃から、バラ騎士の間で、バラ戦争を夢に見るという症例がいくつか報告されるようになりました。「なんだ、ニワトコはこんなところにあったんだ」と夢で納得したのに、なかったとか。


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