Arthur Ransome page by COOT

「バラ戦争」 第10戦

Since : 1999/09/11
Last update : 1999/09/11

問題

カッレが言った。
「三毛猫同盟が聖像さまを隠したんだ。なかなかうまく隠してあるが,ぼくにとっては簡単,探し方はこうだ。
まず次の(1)〜(5)が指しているものは何かな? 「ランサムしりとり」の要領で(でもしりとりじゃないよ)考えてみてごらん。今度はそれぞれを「模様」に直すんだ。するとある生き物が出てくるよ。その生き物の名前がついている場所を探すんだ。模様クラブ員でもこれなら大丈夫。頭を使うんだよ。」

(1)向こう岸であわて騒いでいる
(2)「わたし分捕っちゃったわ」
(3)「ここには家なんかないのよ」
(4)「文明ってなあに?」
(5)水先案内人求む

エーヴァ・ロッタが笑った。
「でもそれだけじゃわかんないわ。その場所の中で次のヒントに当てはまるもののある場所が聖像さまの隠し場所よ。

(歌うように)
忘れてしまったのが幸運になることもある

どう,わかったでしょ。
あら誰かがまだ何か言ってる。アンデスかしら。」

向こうからアンデスが大きな声で言っている。
「そこには誰かがしょっちゅうきれいにふいてる物もあるんだよ」

*****************

ロジャがいいだした。「おいおい,この問題簡単すぎないかい。」
ティティもいった。「トランクを探した時と似ているし。」
スーザンは首をかしげた。「理詰めで考えないとわからないんじゃないの。」
ペギイもいった。「でも持ち上げればすぐわかるし。」
ドロシアがまとめた。「素敵な隠し場所よ,最初から最後まで気を使った。」


解き方

ヒントの中に解き方が書いてありますから、それに従います。まず(1)〜(5)から連想するものを考えます。

(1)は、この中では一番難しいかもしれません。あわて騒いでいるのは鳥です。鳥が一番あわて騒ぐ時はどういう時でしょうか?騒いでいたのは何の鳥でしょうか?
(2)は、ティティAB船員の有名な台詞です。何を分捕ったのでしょう?
(3)も難しいですが、家なんかない所で灯りを見た救助隊の台詞です。それは結局どこだったのでしょう?
(4)は、ブリジットの台詞です。文明とは何でしょう?
(5)のためには、何を使って合図するでしょう?

連想して出てきたものの名前を並べます。それを「模様」に直すとは、どういうことでしょう?これは、ニフティの会議室に実際に参加していた人でないと、ちょっと難しいです。当時、会議室で「英語は模様クラブ」というのが結成されていました。つまり、英語に直すわけです。

(1)オオバン→coot
(2)アマゾン号→Amazon
(3)北極→N.P.
(4)アイスクリーム→ice cream
(5)S旗→S flag

「頭を使うんだよ」ということで、それぞれの1文字目を取って並べると「CANIS」となります。辞書でCANISを調べると、ラテン語で犬という意味です。確かに「ある生き物」が出てきました。CANISは、『女海賊の島』で、ロジャが暗誦する「両性に共通するのは、・・・」にも出てきます。ロジャが、この部分は「いつも思い出せるんだ」と、わざわざ言っています。

「その生き物の名前がついている場所を探すんだ」とあります。これは、すぐに「犬小屋」が思い浮かびます。

「忘れてしまったのが幸運になることもある」とは、どういう意味でしょうか。忘れなかった人は、ある物が水没して駄目になってしまいました。1人だけ忘れてきたので、その人の「ある物」は、水没を免れ、後日とても役にたちました。

「誰かがしょっちゅうきれいにふいてる物」といえば、いくつかすぐに思いつきます。スーザンの食器ではありません。誰かが緊張した時などにふく物です。

犬小屋の中で、この2つが一緒に置かれた場所に、聖像さまも置かれました。

ちなみに、最後のロジャからドロシアまでの5人の台詞は、頭文字をつなげると「おとりです」となり、最後の文字をつなげると「いしのした」となります。「おとり」ということで、問題を解くには直接関係ないトラップでした。


答え

11巻『スカラブ号の夏休み』 第6章「大おばさんがきた!」 P89 「犬小屋の梁の上の安全な場所」


解説

バラ戦争10戦目にして、初めて、全軍正解の偉業が達成された記念すべき問題となりました。そうは言っても、簡単過ぎるわけではない、手応えのあるいい問題でした。

この問題は、三毛猫同盟からの初の出題です。お茶バラ軍のLMS将軍が中心となって、(1)ヒント(問題文)はできるだけ原典に忠実に引用、(2)筋道をたどれば誰にでも解ける問題にする、(3)ヒントはできるだけフェアに、という3つの基本方針を打ち立てて、問題文が出来ました。

この基本方針は、今後もひとつの指針となり得るくらいよく出来ています。大勢のバラ騎士がとても楽しめる問題でした。


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