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「バラ戦争」 第17戦

Since : 2000/07/30
Last update : 2000/07/30

問題

タイトル: ティティ、問題を出す【バラ戦争第17戦】

#沈没したままのドンキイ船長に捧ぐ。


ある日ティティがきいた。「ねえ,アーサー・ランサムという作家の遺稿が発見されたそうね?」
「うん。実はね,遺稿の他にパズルのようなものを書いた紙切れがあったんだ。これがそうなんだけどね。」と,船長がいった。
「あらそう? ねえ,前の時のようにわたしが問題を出してもいい?」と,ティティがいった。
「もちろん。じゃあタイトルは『ティティ、問題を出す』とでもしようか。今度も防衛できるといいねえ。」

************

ティティは熱心な目で見つめていた。
遺稿の中にあった紙片には謎めいた言葉と記号が書かれていた。
□と☆にはひらがな(カタカナ)1つずつが入るのは確からしい。
謎の言葉と記号とは,この順序で対応していることも確かだが,
それ以上のことはわからない。☆をどう解釈すればいいのだろう?
何かわながあるだろうのか?


「暗号とは思えない」
「航海士がした信号はU」
「ヴィッキイとテッドの間の場所」
「やつらがふつうねらうもの」
「時計をおいてあるところ」
「入口に書いておくことば」

□□□□□☆□
□□□□☆□
□□□☆□□□
□□□☆□□
☆□□□□□□
□□□□□☆□

************

「こういう問題なんだけどね。」
ティティは尊敬をこめた目で船長をじっと見た。「すごい…あそこにいっしょにしまいこんであるとはちょっと気づかれないわよ。」
「そうだといいけどね。」
「みなさん,隠し場所がわかったらメールくださいね。

タイトル: ティティ、追加ヒントを出す【第17戦】

高貴なるバラ騎士の皆さん,Ahoy!


「まだリオの沖で待機中の攻撃軍が多いようだね。」と、船長がいった。「これじゃアマゾン川に達するのはいつになるかな? アマゾン川から先もあるしね。やはり「杞憂」が過ぎたんだろうか。」
「そうね。それじゃ追加ヒントを出しましょうか。」と、ティティがいった。

********

「わしには、よく意味がわかる。」
「ぼくたちも合図の意味はわかったから来たよ。でも、なんの□□□【ひらがな】なの?」
「お誕生日おめでとう。」
「みんながどっとはいりこんで、さがしまわったの。」
「わたし、たいへんなことしちゃったわ。」
「どんとおしこんでふさいじゃうのよ。」

□□□□□☆□
□□□□☆□
□□□☆□□□
□□□☆□□
☆□□□□□□
□□□□□☆□

********

「アンフェアだっていわれないか心配だよ。」
「あら、正直第一だったわよ。」と、ティティがいった。「それにこれはローストフトでもはやってたのよ。でも心配なら主犯にきいてみるのがいいわね。」


#ええと,わたしも可能な限りフェアにしたつもりですが(^^;  
                    LMS@三毛猫リボン同盟


解き方

まずは、6つの謎の言葉を解きましょう。うまく解けると「□□□□☆□」などにあてはまる言葉が出てくるはずです。

★1 「暗号とは思えない」、「わしには、よく意味がわかる。」 (7文字)

『シロクマ号となぞの鳥』P281で、フリント船長が「暗号とは思えんね。」と言っています。この暗号とは思えない、ロジャを憤慨させたことばは、P272に出てくる「ねむれるびじょ」です。

★2 「航海士がした信号はU」、「ぼくたちも合図の意味はわかったから来たよ。でも、なんの□□□【ひらがな】なの?」 (6文字)

『ツバメの谷』の中継キャンプ(P388)で、スーザンが航海士の呼び子で「U」(ト・ト・ツー)の信号を吹きます。ティティとロジャが合図の意味を知って、急いで戻ってきます。「U」の信号の意味は、「きけんちかし、ちゅういせよ」です。

★3 「ヴィッキイとテッドの間の場所」「お誕生日おめでとう。」 (7文字)

これが6つの中で一番難しいです。ヴィッキイ=ヴィクトリア女王、テッド=エドワードとします。どちらも昔のイギリスの王・女王です。この2人が出てくる場面が意外なところにあります。『六人の探偵たち』のP52で、ウナギとりの老人ハリイ・バンゲイトの船室に2人の写真が壁にはられています。P54で、この日が老人の誕生日であることが分かります。「ヴィクトリア女王の五十年記念祭の写真」と「エドワード七世の戴冠式の写真」の間にあるのは、「南アフリカ」に出征する軍隊の写真でした。

★4 「やつらがふつうねらうもの」、「みんながどっとはいりこんで、さがしまわったの。」 (6文字)

『スカラブ号の夏休み』P318で、ベックフットに「どろぼう」が入った後、警官のサミーが「銀のコップや柄つきコップですかな?ふつう、やつらはそういうものをねらいますな。」という台詞があります。

★5 「時計をおいてあるところ」、「わたし、たいへんなことしちゃったわ。」 (7文字)

『ひみつの海』P64の場面です。
 「時計がないんだ。」と、ジョンがいった。「まだ修理中でイップスウィッチにおいてあるんだよ。」
 「そうだろうと思ってたのよ。」と、スーザンがいった。「わたし、たいへんなことをしちゃったわ。(以下省略)」
というわけで、時計がおいてあるところは「イプスウィッチ」です。

★6 「入口に書いておくことば」、「どんとおしこんでふさいじゃうのよ。」 (7文字)

『ツバメの谷』P268で、ピーター・ダックの洞穴に、大おばさんを「どんとおしこんで入口をふざいじゃう」話しをナンシイがしています。その時に入口に書くことばは「のぞみをすてよ」です。

以上から、穴埋めをすると、

1 □□□□□☆□ ねむれるび
2 □□□□☆□  きけんち
3 □□□☆□□□ みなみフリカ
4 □□□☆□□  ぎんのっぷ
5 ☆□□□□□□ プスウィッチ
6 □□□□□☆□ のぞみをす

☆の文字を後ろから読むと「艇庫赤字」となります。『ツバメ号とアマゾン号』P263〜4で、ベックフットの艇庫には大きな封筒があり、その中の紙には、「は!は!」と赤鉛筆で大きな字でかいてありました。

ここまでの第1段階で見つけたのは、単なる「は!は!」という海賊のあざわらいです。なんと、第1段階は全く答えには関係無いのでした。

気を取りなおして、ヒントの他の部分から隠し場所を探すことにします。ヒントになりそうなのは、次の部分です。

 ティティは尊敬をこめた目で船長をじっと見た。「すごい…あそこにいっしょにしまいこんであるとはちょっと気づかれないわよ。」
 「あら、正直第一だったわよ。」と、ティティがいった。「それにこれはローストフトでもはやってたのよ。でも心配なら主犯にきいてみるのがいいわね。」

正直第一と書かれた魚と一緒に埋められたのはどろぼうのパイプです。ローストフトで流行っていたというと、『ヤマネコ号の冒険』P308〜309のへんな型の折れたパイプです。そこで、パイプがしまいこまれている場所を探すことにします。

『海へ出るつもりじゃなかった』P42に、パイプをふかすジム船長をジョンとスーザンが尊敬の念をこめて見る場面があります。その後、ジムはパイプをあるところに注意ぶかくしまいこみました。


答え

7巻『海へ出るつもりじゃなかった』 第3章「みんな、約束した」 P46 「ジムがパイプをしまいこんだ鬼号の操舵室のロッカーの一つの中」


解説

ヒントの大半が「おとり」で、正しい隠し場所を探すためのヒントは目立たないように隠されていたという大胆な問題でした。どのバラ軍も当然のようにひっかかり、「おとり」の部分を解くのに集中し、この部分はほとんど解けた軍が多かったのですが、その後、このトリックに気付いて、気を取りなおして、正しい隠し場所に至ったのは赤薔薇軍だけでした。だまされたものの、トリックの見事さに、攻撃軍から称賛される問題でした。


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