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「バラ戦争」 第21戦

Since : 2001/02/25
Last update : 2001/02/25

問題

タイトル: 続・三毛猫リボンの会【バラ戦争第21戦】

『続・三毛猫リボンの会』

 ランサマイトの集まり三毛猫リボンの会は日本からのゲストを迎えていた。これまでにも外国人のゲストはいたが、日本人の、それもランサマイトは初めてだったので、一同は興奮を押さえきれなかった。いつもは遅れてくるトランブルでさえ,十分余裕をもってやってきた。
 食事中は日本の新年の行事や日本のランサマイトのことなどが話題になり、やがてその日のゲストの尋問の時間をむかえた。
 尋問役に指名された化学者のドレイクが、いつもの「あなたは何をもって、あなたの存在を正当となさいますか?」という質問をした。
「わたしはランサマイトの一人として、『全人類ランサマイト化計画』を推進しております。」と、ゲストは言った。「それは先程食事中に話しましたね。でもそれ以外にも皆さんに楽しんでいただける謎を用意してきました。」
「ほう、それは楽しみですね。」と、画家のゴンザロが言った。
「わたしたちの間では『バラ戦争』というゲームをやっています。」と、ゲストは言い出した。
「バラ戦争?」と、作家のルービンが言った。「ヨーク家とランカスター家の?」
「いや、それとは直接関係ありません。やはり児童文学作家のリンドグレーンの作品の中に、子どもたちが『バラ戦争』と称して、『聖像さま』なるものを隠してそれを発見するのを競う遊びが出てくるんです。ランサマイトの『バラ戦争』はそれに基づいたもので、出題側がランサムの作品中のどこかに『聖像さま』を隠して、そのヒントをもとに他の攻撃軍が探し出す、というゲームなんです。回を重ねるにつれてヒントがどんどん巧妙かつ難解になってきています。ランサムの作品を隅から隅まで読んでいなければわからないことが多いです。暗号などが使われることもありますよ。」
「ほう、それはおもしろそうだね。」と暗号が専門のトランブルが言った。
「うん、ぜひその問題というのを紹介してください。」ゴンザロが言った。
「われわれが今までにこの会で解明できなかった謎はないからねえ。」
「われわれが、というよりヘンリーが、と言う方が正確なんじゃないか?」と、数学者のホルステッドが言った。
 それまで黙って後ろに控えていたヘンリーが口を開いた。「いえ,三毛猫リボンの会のみなさまが謎を解明なさるのです。わたくしはただ,落穂拾いをいたすだけでございます。」
「まあ、とにかくその問題というのを聞かせてください。」トランブルが言った。「われわれはみなランサマイトだから、きょうはヘンリーの助けを借りずに解決できるかもしれない。」
「いいですよ。」と、ゲストは言った。「そのかわりこの問題のことは外では言わないでもらえますね。今度の日曜に出題することになっているんです。実はこのニューヨークにも敵の将軍が潜んでおりましてね、漏れるとまずいんです。」
「この部屋で話されたことは、絶対に外には漏れません。」と、弁護士のアヴァロンがうけあった。
「よろしい。じゃあはじめます。われわれは『聖像さま』をあるところに隠しました。
その隠し場所を推理する手がかりが4つあります。

第1の手がかりはこれです。

*****************
*北西 北東:ビーフ ソーセージ*
*****************

「なんだい、それは?」と、ゴンザロが言った。「連想ゲームかな?」
「まあ、そんなようなものです。」と、ゲストが言った。
「それが隠し場所を示しているんですね?」と、トランブルがきいた。
「いや、これだけではありません。しかし隠し場所を示す手がかりの一つです。無理のない連想で導き出されると思うのですが。」
「まん中の:は何を意味してるんです?」と、ホルステッドが聞いた。「そこで2つにわかれているということですか?」
「いいところに気がつきましたね。そう、この:には意味があります。」
「じゃあ手がかりは2つなんですね?」
「まあ、2つといえば2つですが…」
「そりゃどういうことです? 1つなのか2つなのか,どっちです?」と、ドレークが追求した。
「そろそろ次の手がかりを出しましょう。」と、ゲストは言った。「ええと、

第2の手がかりです。

**********
*船長は     *
*もう気がついてる*
*黄地に黒    *
*一、二、三見え *
*そのうち二つ  *
**********

「これは何です?詩の一種ですか?」
「そうです,ゴンザロさん。これは短歌という日本の詩の形式の一つです。最初の3行を上の句、後半の2行を下の句といいます。」
「この詩が手がかりなんですね。」と、ルービンが聞いた。
「そうです。」
「詩全体があるものを示しているわけですね。」
「ええと,上の句も下の句も同じ物を指していると言う方が正確でしょう。」
「黄地に黒…?」
「ああ、それにはあまりとらわれないようにしてください。上の句の一部ですが、サガ以外の知識が必要なので…でも手がかりとしてはその前の2行で十分なはずです。3行目は形を整えるために入れただけでして…」
「ふ〜む。」トランブルが首をかしげた。「3行目はなくてもわかると…」
「そうです。でも3行目も手がかりには違いありません。すべての手がかりは同じくらい重要なんですが、あるものは他のものよりもっと重要でして…」
「なにを言いたいのかわかりませんなあ。」と、ホルステッドが顔をしかめていった。
「まあここらで次へ行きましょうか。

第3の手がかりはこれです。

***********
*ぐもぼおーんまどつ*
*らもれんしなぐすど*
*はちろーでゆーぷつ*
*まろのこうじゆつれ*
*うふばのよつじしよ*
*ごらぶつきりとやし*
*むつばくりのーのむ*
*らしーからもかかげ*
*ふゆんたんじとくぴ*
***********

「これまたわけがわかりませんねえ。そうか、並べ替えると意味をなすんじゃないかな? アナグラムでしょう?」と、トランブルがいった。
「それがその、わが軍はアナグラムが嫌いでして、出題しないことになっているんです。」
「ははあ。そう思わせておいて何食わぬ顔でアナグラムにするという手もありますよ。」
「なるほど、それはいい考えかもしれませんね。そのうち使いましょう。」
「それでどうなんです?これはアナグラムじゃないんでしょう?アクロスティックではないようだけど…。」アヴァロンがいった。
「どまん中でもありませんよ。」
「何かヒントはないんですか?」
「そう、縦にしたり横にしたりしてみてください。でも斜めにしてはだめです。」
「う〜ん。どこから見ても変わらんようだが?」
「余計なものに惑わされなければ最後に手がかりが見えてくるはずです。

さて、4番目の手がかりはこうです。

*********
*ジョージのほう*
*********

「ジョージ?それは誰です?」
「それがポイントです。」
「ひょっとしてこれもアナグラム…ということはないか?」と,ルービンがいった。「いや,アナグラムは使わないんでしたね。それとも…」
 少しの間沈黙があった。
「それでこの4つの手がかりが指し示す場所を答えろということなんですね?」と,ドレイクがまとめた。
「そうです。4つの手がかりがある場所を指し示しています。一つ一つは間接的なんですが、4つそろえばある場所を特定できるはずです。」
「ところでその隠し場所というのは今までの隠し場所とは違う場所なんでしょうね。つまり移動したように見せかけて実はもとの場所だった、ということはないんでしょうね。」ルービンがいった。
「それはありません。前回の場所ではありません。新しい隠し場所です。」
「なかなか難しそうだなあ。」
「いやあ、きみにとってはそうかもしれないがね,マニー。」突然ゴンザロが言い出した。「しかしわたしにとっては簡単な問題だねえ。」
一同はぎょっとしてゴンザロを見た。
「するときみは答えがわかったというのかい、マリオ?」ルービンが言った。
「そのとおり。答えは手がかりとは全然無関係のところにある。」
「なんだって!?」
「つまり4つの手がかりは見せかけで、本当の問題はさっき話題に出たところにある。先程あなたは日本では干支というのがあって,毎年動物が割りあてられていくんだと言いましたね。去年は龍の年で、そして今年はヘビの年だという。ということは1、2巻に出てくる「マムシのはいっている葉巻の箱」というわけですよ。」
「しかしマムシの箱に聖像さまを隠すかね?」ルービンが疑わしそうにいった。
「意外な隠し場所でおもしろいじゃないか。」
「確かにそういう隠し場所が得意なバラ軍もありますが。」と,ゲストが言った。「でも残念ですが、その手はすでに使ったことがあるんです。つまり、問題と見えたものが実はおとりで、本当のヒントは別のところに隠しておく、というやり方のことですがね。」
 ゴンザロはがっかりした。「うまい作戦だと思ったんだがなあ。」
「そのとおりです。わたしもそう思います。でも同じ手は二度使えませんしね。とにかく今回はその手は使っていません。私が今お話した4つの手がかりはほんものです。この4つの手がかりだけから隠し場所が特定できます。****で囲んだ部分です。他の皆さんはいかがでしょう?」
 しばらく沈黙が続いた。
「どうやらここらでヘンリーの出番のようだね。」と、ゴンザロが言った。
「ヘンリー、何か考えはないかい?」

************

読者(攻撃軍)への挑戦:
聖像さま(みよとこしえに)の隠し場所の手がかりはすべて出されました。4つの手がかりのなぞを解いて隠し場所を見つけてください。

手がかりの解明だけでも歓迎です。なお、できるだけ頻繁にアクセスするつもりでいますが、こちらは当直武官不足のため、多少の判定の遅れはご容赦ください。

ではまた。

∠(^。^)LMS@三毛猫リボン同盟

タイトル: 【バラ戦争第21戦】追加ヒント

『続三毛猫リボンの会』

【承前】

ヘンリーはグラスを拭いていた手を止めて静かに言った。
「一つ考えがないこともございませんが。」そしてメモに走り書きしてゲストに渡した。
「いやあ、驚いたね、ヘンリー。」一目見るなりゲストは大声を上げた。「どうしてわかったんだい?」
「はじめからそのあたりも可能性の一つかと思っておりました。」と、ヘンリーは言った。
「ほう、そうかい。やはりねえ。」
「おいおい、われわれにも教えてくれよ。」と、ゴンザロが言った。
「いや、ちょっと待ってくれマリオ。」ルービンが口をはさんだ。「まあ、ヘンリーが一目で言い当てたのは当然としても、われわれだってランサマイトなんだから、わかってもいいはずじゃないか。もう少しヒントはもらえませんかね。」
「そうですね。」と、ゲストは考えた。「そうだ、今度はヘンリーにヒントを出してもらったらいかがでしょう。お聞きするとヘンリーはいつも謎解きの担当のようですね。たまには逆になるのもいいんじゃないでしょうか。」
「それはいい。」と、トランブルが賛成した。「ヘンリー、まだ時間はたっぷりあるから頼むよ。」
一同もうなずいてヘンリーを見た。
ヘンリーは注目を浴びて面映げであったが、やがて言った。
「さようでございますね。わたくしはもともとみなさま方のお話をお聞きするだけで十分楽しうございましたし、それ以上のことを決して望んでもおりませんでしたが、わたくしもランサマイトの端くれとしてこのゲーム、失礼いたしました、バラ戦争に大変興味がございます。それでは少々お時間をいただけますでしょうか。」
「もちろん。」と、アヴァロンが言った。「わかりやすいヒントをたのむよ。」

しばらくしてヘンリーは話し出した。
「まず最初の手がかりでございますが、「北西 北東」から一つ、「ビーフ ソーセージ」から一つの言葉が連想されますですね。それをどう処理するかでございます。ただ並べただけでは意味があるように思えません。しかしながらバラ騎士のみなさまにはすぐにおわかりになるはずでございます。」
「う〜ん、並べただけでバラ騎士ならわかる、か、何か哲学的だね。」と、ルービンが言った。「哲学的なのもだめじゃなかったんですか?」
「いや、そんなことはありません。」と、ゲストが言った。「バラ騎士ならわかってほしいです。」
「それそれ、それが哲学的だというんですよ。」ルービンが反論した。
「まあまあ、先へいこうじゃないか。」と、トランブルがとりなした。
「そうですね。第1の手がかり自体はそれほど決定的なものではありませんから、この程度の曖昧さでいいんじゃないでしょうか。」と、ゲストが言った。

「それでは第2の手がかりでございますが、これはただ上の句と下の句が指すものをサガすだけでございますから、これ以上ヒントの出しようがございません。そこでわたくしなりに考えました新しい手がかりをお出ししたいと存じます。

@@@@@@@@@
@寒い朝    @
@熱いお湯もち @
@十二段    @
@ディクソンおば@
@さんやってくる@
@@@@@@@@@

@@@@@@@@ @窓たたく  @ @バラの小枝に@ @起こされて @ @子らを案ずる@ @残された母 @ @@@@@@@@

「おお、君が和歌を作るとは知らなかったよ、ヘンリー。」と、ドレークは言った。
「なかなかうまいですね。」と、ゲストも言った。
「ありがとうございます。」と、ヘンリーは恥ずかしそうに言った。「このレストランでも最近は日本人のお客様がお見えになりまして、お客様方のお話しを聞くともなしに聞いておりまして、知らず知らずの内にわたくしも和歌の形式だけは覚えましてございます。」
「2つあるのはどういう意味だい?」と、トランブルがいった。「共通するものを見つけろって事かい?」
「さようでございます。いささかやさしすぎましたでしょうか?」
「いや、そんなことはないだろう。」と、ゲストが言った。
「ところでこれは前回の手がかりとは別なんだね?」と、ゴンザロがいった。
「さようでございます。前回の第2の手がかりとはまったく別のものを指しております。」

「じゃあ、第3の手がかりへいこう。」と、ドレークがいった。「これも難しいね。」
「そう、作った時には簡単だと思ったのだが、わざとあまりなじみのない言葉も使いましたからね。」と、ゲストは言った。「しかし前にも言いましたが、余計な言葉を蹴散らしていけば最後に重要な手がかりが残るんですがねえ。」
「ほう、すると後に残ったものが真の手がかりと言うわけなんですね。」と、アヴァロンがいった。
「そうです。考えすぎないでください。最後に残ったものがキーワードです。」
「そういたしますと、第3の手がかりについてはそのままでよろしゅうございますか?」
「そうだねえ。本当に難しいのは2つか3つくらいだからねえ。何とかなると思うが。とにかくすべてサガに出てくる言葉なんだから。」と、ゲストは言った。
「しかし何もないところから言葉を見つけろっていってもねえ。」と、トランブルがいった。「データ不足じゃ解けないですよ。」
「なるほど、そういえばこの第3の手がかりは言葉を全部見つけないと最後のキーワードが現れないですね。その意味では案外難しいですかね。」
「そうですよ。ねえ、ヘンリー、もう少しヒントをもらえないかな。」と、ルービンがいった。
「さようでございますか。それではこういたしましょう。第3の手がかりには14の言葉が含まれております。そのうち半分の言葉を示すヒントをお出しするというのはいかがでございましょう?」
「そうだね、本当は自力で言葉を探してもらいたかったんだが。でも半分と言うのは多すぎないかい?」
「ではわかりきったものも入れまして、なるべくあいまいなヒントにいたします。よろしゅうございますか。

@@@@@@@@@@@@@@@@@
@電文             @
@弓矢の戦い          @
@アナグマ           @
@古い友人の船長        @
@牛乳をもらいにいったところの先@
@紙一枚くれない?       @
@はとば            @
@@@@@@@@@@@@@@@@@

もう一度申し上げますが、これは第3の手がかりに出てくる言葉そのものではなく、その言葉を示すヒントでございます。」
「そのとおり。そして、くどいようだが最後に残ったものが真の手がかりなんです。」

「それじゃ、第4の手がかりについてはどうだね?」と、ホルステッドが言った。「もう少しヒントをくれないか、ヘンリー?」
「『ジョージのほう』ね。」と、ルービンがいった。「ジョージといえばオードンだね。そしてオードンは主犯だった。だから『ジョージのほう』は『主犯』を指すんじゃないか。」
「それで?」
「うん、サガには『主犯』がもう一か所出てくる。『冬休み』のナンシイさ。
だから第4の手がかりはナンシイのことじゃないかい?」
「おもしろい考えですが」と、ゲストは言った。「それも以前使ったネタなんです。残念ながらその方向は間違いです。」
「ジョージといえばオードンというのは素直すぎるかなあ?」
「そうですね。おそらく百戦錬磨の攻撃軍はオードンは初めから捨ててかかるでしょう。もっともそれを逆手にとるという策もあるんですが…」
「う〜む。ヘンリー、何かヒントを頼むよ。」と、トランブルがいった。
「さようでございますね。それではジョージに加えまして、いささか簡単ではございますが:

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
@ウォーカー夫人はべつにこれじゃない@
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

は、いかがかと存じますが。」
「なるほど、それはいいね。」と、ゲストが言った。「確かに簡単すぎるようだが。」
「簡単で結構。」と、ゴンザロが言った。

「それではもう一度皆さんで考えてみてください。今ちょうど3時ですね。それじゃ3時7分30秒まで考えてみてください。」と、ゲストが言った。「それにしてもヘンリー、きみは素晴らしいね。非公式にはきみが21戦の勝利者といってもいいだろう。」
「21戦の勝利は三毛猫リボンの会によってもたらされたものでございます。」と、ヘンリーは言った。

【続く……(のでしょうか?)】

タイトル: 【バラ戦争第21戦】ヘンリーの極秘ヒント

バラ騎士のみなさま、一言よろしゅうございますか。

第3の手がかりは予想以上に難問のようで、みなさま難儀しておられるのを見るにしのびませんで、わたくし独断でもう少しヒントをお出ししたいと存じます。いわばボーナスヒントでございます。もっとも、すでに解明されたものや、あいまいなものもあるかと存じますが、その点はご寛容の程をお願いいたします。

************

第3の手がかりを導く「余計な言葉」を指し示すヒント:

>@@@@@@@@@@@@@@@@@
>@電文             @
>@弓矢の戦い          @
>@アナグマ           @
>@古い友人の船長        @
>@牛乳をもらいにいったところの先@
>@紙一枚くれない?       @
>@はとば            @
>@@@@@@@@@@@@@@@@@

これは前回出ましてございます。
残りの7つは:

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
@talpa                       @
@水夫とディックは顔を見合って…          @
@ザビエルはポルトガルから来た。では彼らは?    @
@最初に望むもの                  @
@ロジャにはつまらなくても、フリント船長にとっては?@
@フランス語?ラテン語?              @
@「タフな松の絵」を持つ場所            @
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

これが第3の手がかりに出てまいります14の「余計な言葉」を指し示すヒントでございます。「余計な言葉」を蹴散らして真の手がかりに迫っていただきとう存じます。

そしてぜひ「ジョージ」のなぞも解いてくださいませ。

それでは。失礼いたしました。

ヘンリー

タイトル: 【バラ戦争第21戦】さらに追加ヒント

『続・三毛猫リボンの会』

【承前】

「さあ、いかがでしょう。謎は解けましたか?」と、ゲストは言った。「まず第1の手がかりからいきましょう。」
「最初はわかったよ。『北西 北東』から連想するのは**だね。」と、ルービンがいった。
(注。ルービンは文字通り「**」と言ったのではなかった。ここで実際の発言内容を書いてしまうと、正解がバラ騎士ぜんぶにわかってしまう。そのため、ここは伏字にしておく必要があった。なお、以下では実際の言葉の字数にかかわらず、一字であろうと五字であろうと、すべて「**」という形になっていることをお断りしておく。)
「そして『ビーフ ソーセージ』といえば**だ。」と、ゴンザロが言った。
「**と**を並べただけでは意味をなさないが、バラ騎士ならすぐに**というキーワードが浮かんでくるわけだね。」トランブルが言った。
「そうなんです。私が最初に「:」に意味があるといったのは単なる区切りというほどのつもりだったんです。誤解を与えてしまったのなら申し訳ないです。」
「でも「:」がないと4つの言葉から1つのキーワードを探すんじゃないかと誤解されるおそれもあるからね。」と、ホルステッドが言った。「それに「:」は導灯を連想させるから並ぶというイメージが出てくるんじゃないかな。もっとも上下じゃなくて左右に並べるわけだが。」
「ありがとうございます。それじゃもう少し補足しますと、この**自体はサガには出てきません。(もっとも原文には登場しますが。)しかし**から、これは実際にサガに出てくる**を導くのは自然じゃないかと思うんですが、どうでしょう。」
「まあ、**といえば**が普通だろうから、自然な連想だと思いますよ。」と、ゴンザロが言った。

「それでは第2の手がかりに行きます。上の句と下の句から導かれるキーワードは何でしょう?」
「上の句は**巻の**の場面だね。これは比較的見つけやすいとして、下の句はどこかな?」と、ドレークが聞いた。
「**巻の**です。」と、ゲストが言った。「これは難しかったでしょうか。」
「う〜ん、ちょっと漠然としすぎじゃないですかね。」
「そうですね、確かにもう少しヒントをいれてもよかったんですが。でも、

@@@@@@@@@@
@霧はれて    @
@一、二、三見え @
@うち二つ    @
@@@@@@@@@@

だと簡単すぎませんか?」
「う〜ん、どうだろう。確かにかなり簡単にはなったけど。でも追加ヒントにするならいいんじゃないですか。」
「わかりました。そうしましょう。ついでにこんなのも入れましょうか。

@@@@@@@@@
@かいてある  @
@あの提督の  @
@持ち物に   @
@@@@@@@@@

歌と呼べる代物じゃありませんが。」
「ははあ。これは簡単だな。ちょっと親切すぎるのでは?」と、アヴァロンが言った。
「でも手がかりが多すぎるとかえって迷走を誘えるということもありますのでね。もう一度念を押しますが、この2つの歌も、最初の歌の上の句も同じキーワードを示しています。」
「なるほど。」

「ヘンリーの2つの歌はどうでしょう?」
「これは簡単。誰でもわかる場面だね。キーワードは**だよ。」と、ホルステッドが言った。「素直に考えればわかるだろう。」

「では第3の手がかりです。キーワードはわかりましたか?もう一度ヘンリーに解説してもらいましょうか。」
「かしこまりました。「余計な言葉」を順に見てまいります。
@電文@
これはあまりにもよく知られている文句でございますから、説明は不要かと存じます。
@弓矢の戦い@
この戦いが起こりましたのは1314年でございますね。スコットランドがイングランドを破ったのでございます。
@アナグマ@
別の名前をお答えくださればよろしゅうございます。
@古い友人の船長@
電報を受け取った人でございますね。
@牛乳をもらいにいったところの先@
これは難物でございます。ただ「牛乳をもらいにいったところ」だけでもよかったのかもしれません。ですが、この地名は2回出てまいりまして、もう一箇所の方で言うならば、「第1の手がかりのソーセージに関係する人が大回りした途中の場所」となりましょう。余計ややこしゅうございますか?
@紙一枚くれない?@
「証人の前で署名しなければ」なりませんですね。
@はとば@
これがいちばんの難物でございましょう。ヤーマスの、「高い煉瓦づくりの塔」のあるはとばでございます。
@talpa@
本家「共通するものは」の中に出てまいりますね。
@水夫とディックは顔を見合って…@
「もうおそすぎた」のでございます。
@ザビエルはポルトガルから来た。では彼らは?@
フランシスコ・ザビエルもルイス・フロイスもポルトガルから参りました。ではこの方たちはどこから来られたのでございましょうか。
@最初に望むもの@
陸地でございますね。
@ロジャにはつまらなくても、フリント船長にとっては?@
実に大切な**でございますね。
@フランス語?ラテン語?@
どちらでもございません。暗号でもございません。もちろん英語でもございません。
@「タフな松の絵」を持つ場所@
これは楽屋落ちで恐縮でございます。「氷に閉ざされて」おります。
こんなところでいかがでございましょうか?」
「ありがとう、ヘンリー。もうおわかりですね。14の「余計な言葉」を蹴散らすと残るのは…」
「**だ。」と、ルービンが言った。

「というわけで、以上3つの手がかり(ヘンリーの歌を入れれば4つですが)からサガに出てくるある場所が特定できます。」と、ゲストが言った。「それが**なんです。」
「でもそんなところに聖像さまを隠すことができるのかなあ?」と、ドレークが言った。
「はい。確かにそうです。この場所そのものの中には聖像さまを隠すことはちょっと無理ですね。」
「その聖像さまがリュウ・アーチャーのようなら話は別だがね。」と、ルービンが笑った。
「ええ、そうですね。でも私たちの聖像さまの場合、そういうわけにはいきません。それで最後の第4の手がかりが重要になります。この手がかりは今回隠し場所を特定する上でぜひ必要だったんです。」
「なるほど。」
「最後の手がかりは『ジョージのほう』なんですが、サガには何と5種類の「ジョージ」が出てきますね。」と言ってゲストはその5種類をあげてみせた。
「なるほど、その中でもいちばん目立たないのがこの「ジョージ」だね。」と、トランブルが感心して言った。
「さて、キーワードは**なんですが、これは自然に導かれるでしょうか。」
「そうねえ。ヒントは「ジョージ」そのものではなく、『ジョージのほう』だといってるんだから。」
「そうですね。でももう一つヒントを出すとしたら;

@@@@@@@@@@@@@@
@「1931年8月11日」のほう @
@@@@@@@@@@@@@@

ということでしょうね。「ジョージのほう」と同じ考え方をすればいいわけです。」
「なるほど。そうだ、こういうのもありますね。

@@@@@@@@@
@計算したほう @
@@@@@@@@@

どうです?」
「うん、うまい。その通りですね。というわけで、今回は「**の@@」というように、場所を特定したものを正解にしたいと思います。といっても、別に難しいことではなく、後の「@@」は第4のキーワードそのものですから。
今回は一つ一つの手がかりは難解だったと思いますが、そこから得られる4つの手がかり(ヘンリーの歌を入れれば5つですね)を並べれば自然にある場所が特定できるはずです。」
「なるほど。いやあ、なかなか難しいけれどおもしろい問題でしたね。」と、トランブルが言った。
「ありがとうございます。攻撃軍のみなさんもそう思ってくれればいいんですが。それにしても、ヘンリー、きみのヒントのおかげで戦場も一層盛り上がりそうだよ。」
「恐れ入ります。ウォータールー(ワーテルロー)のような華々しい勝利をお祈りいたしております。」と、ヘンリーは言った。

「ところで最後に一つお聞きしたいんですが、日本人のランサマイトの間ではサガにちなんだミドルネームを持つのが一般的なんだそうですね。」とルービンが言った。
「はい、そうです。さすがにナンシイとかジョンというようなミドルネームをつける方はないと思いますが、みなさんユニークなミドルネームをつけています。」
「ほう、それじゃあなたにもミドルネームがあるわけですね。どんな名前か教えてもらえますか。」
「わたしは

@@@@@@@@
@「ピクト人」@
@@@@@@@@

と名乗っています。」と、ゲストは答えた。
(注。この物語はフィクションであり、実在のミドルネーム「ピクト人」さん
(もしおられたとしても)とはいかなる関係もない。m(__)m )

【完】

************

というわけで、『続・三毛猫リボンの会』は完結しました。文中にもありましたように、攻撃メールは「**の@@」(@@には第4の手がかりのキーワードが入ります)というようにお答えください。そこまで特定しているものを正解とさせていただきます。よろしくお願いします。

この後は『作者のあとがき』でお目にかかります。

ではまた。

∠(^。^)LMS@三毛猫リボン同盟


解き方

第1の手がかり「北西 北東:ビーフ ソーセージ」

8巻に「北西航路、北東航路」が出てきます。「ビーフ・ロール」、「ソーセージ・ロール」が、それぞれ11巻、10巻に出てきます。出てきたキーワードを続けると「コウロ ロール」。『カッレくんの冒険』のバラ戦争では、「ころろ暗号」が使われています。その暗号にあてはめて、「コロロ」と取り除くと、「ウール」となります。

第2の手がかり「船長は もう気がついてる 黄地に黒 一、二、三見え そのうち二つ」

7巻P430に、
一羽のウが、ドイツ国家の紋章のワシのようにつばさをひろげたまま、川のまがり角のブイの上にとまっていた。
「ジョン。」と、ティティはさけんだ。「汽船が一隻くだってくるわ。」
「もう、気がついてる。」と、ジョンがいった。
それは、小さな貨物船で、・・・(中途略)・・・「汽笛二回……左へまがれ。」
という場面があります。「黄地に黒」というのは、ドイツ国家の紋章もそうですが、国際旗りゅう信号旗で黄地に黒丸は「I」、「汽笛二回」の信号(モールス信号の「I」)と同じく「左へまがる」ことを表します。また、3巻P217で、霧がはれると
あそこに、一隻、二隻、三隻、汽船が見える。二隻は貨物船で、一隻はタンカーだ
という場面があります。追加ヒントの「霧はれて 一、二、三見え うち二つ」とも一致します。従って、隠されたキーワードは「貨物船」です。追加ヒントの「かいてある あの提督の 持ち物に」というのも、3巻P35で、ピーター・ダック提督のズックの袋に、貨物船の絵が描いてあります。

第3の手がかりは、追加ヒントを使っても全部解くのは難しいので、最後の方は、残った文字からキーワードを類推して、どの文字が最後まで使われずに残るか考えることになります。

ヒント キーワード 出現場所
電文 おぼれろのろまは 1巻P14
弓矢の戦い ばのっくばーん 4巻P29
アナグマ ぴくとじん 11巻P53
古い友人の船長 かーとりっじ 7巻P360
牛乳をもらいにいったところの先 れっぷす 5巻15章、9巻17章
紙一枚くれない? きょうじゅつしょ 9巻P314
はとば ぶらっしゅ 3巻3章
talpa もぐらもち 10巻P258
水夫とディックは顔を見合って… かげむしゃ 12巻P339
ザビエルはポルトガルから来た。では彼らは? こーんしー 8巻9章
最初に望むもの どっどまん 3巻P525
ロジャにはつまらなくても、フリント船長にとっては? たからもの 1巻P427
フランス語?ラテン語? でゅーぐ 12巻P74
「タフな松の絵」を持つ場所(注1) ふらむごう 4巻
注1:「タフな松の絵」は、第11戦の問題で使われたアナグラムで、文字を並び替えると「二つの名前」となります。
最後まで使われずに残る文字から出てくる言葉は「船乗り」となります。

第4の手がかり「ジョージのほう」

出題軍のLMS将軍によると、サガには次の5つのジョージが出てくるそうです。
ここでは最後のジョージでした。追加ヒントの「ウォーカー夫人はべつにこれじゃない」は、7巻P434のおとうさんの台詞から「竜」となります。「ジョージのほう」なので、キーワードは「裏」です。また、追加ヒントの「1931年8月11日」のほう」、「計算したほう」も、それぞれ2巻のカンチェンジュンガの頂上のケルンの中から見つけた紙、1巻冒頭の船舶雇用書類の「裏」を表しています。

追加の手がかり「寒い朝 熱いお湯もち 十二段 ディクソンおばさん やってくる」、「窓たたく バラの小枝に 起こされて 子らを案ずる 残された母」

4巻冒頭と、7巻の場面です。この2つに共通するキーワードは、いくつか考えられますが、ここでは「寝室」です。

以上から、「ウール、貨物船、船乗り、寝室」から連想される場所の「裏」に聖像さまが隠されていることになります。貨物船の上でウール(毛糸)と言えば?


答え

5巻『オオバンクラブの無法者』 第21章「カム・アロング号とウェルカム号」 P326 ウェルカム号の寝室の「若い船乗りの肖像」がおさめられた「青いビロードの額縁」の裏


解説

出題軍からのネタバレより・・・

今回のバラ戦争第21戦のコンセプトは「21世紀の到来を歓迎する」ことだった。5巻「21」章に「ウェルカム」号という船が登場するのを見て、「これはいける。『三毛猫リボンの会』におあつらえむきだ。」と思った。もっともそれを見抜かれては何にもならない。そこで1月「21」日開戦にこだわることによってカモフラージュしようとした。

21世紀最初の戦いは、「21」にこだわった手応え十分の問題でした。青銀連合は、恒例の最後の激しい追い込みを見せましたが、残念ながら時間切れとなり正解には至りませんでした。


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