アーサー・ランサムの世界 by COOT

桧原湖キャンプ(2001年秋)

2001年9月22日(土)〜24日(月)

since: 2001/09/28
last update: 2002/09/23


連休に、アーサー・ランサム・クラブ(ARC)の一部の人からは「日本の湖水地方」と呼ばれている福島県の桧原湖に、ポートサイドさん、いーろらさん、マクギンティさん一家(2日目から)とCOOT海賊一家でキャンプに行ってきました。

1日目夜:天文学者

「北斗七星がみつかった。あの農家のほとんど真上だ。北極星もみつかった。そのわきにカシオペアがある。だいたい北斗七星の正反対のところだ。」
『長い冬休み』P28より

土曜日、きれいなポリーの学校が終わった後、12時20分頃車で東京町田を出発して、すっかり暗くなった18時40分頃桧原湖畔に付きました。目指す松原キャンプ場は、車で行ける道はなく、ボートで送迎をしてもらいます。こんなに暗くて大丈夫なのだろうかと思いながら電話すると、音と航海灯が黒い水面の上をやってきました。ディクソンおじさん(松原キャンプ場のオーナー)と一緒に、一番にキャンプ場に着いていたいーろらさんも迎えに来てくれました。

荷物を積み込んで出航。いきなり夜間航海です。満天の星の下を冷たい夜風を受けて進みます。前方には北斗七星とカシオペアにはさまれて北極星。その横を人工衛星が飛んで行きました。見上げると天の川もしっかりと見えます。振り返ると三日月が航跡を照らしています。まるで別世界の中にいるようで、ブーンというモーターの音と水を切る音だけが聞こえるのが、かえって湖の静けさを感じさせます。

先にキャンプ場に着いていたポートサイドさんと合流し、夕食の後は、ディックになりました。キャンプ場の天体望遠鏡を借りて、岸辺のあまり地平が広くない天文台から夜空を眺めます。

天文学者たちの最初の観測対象は、赤っぽく光る惑星です。たぶん火星だろうということにしたけど、この時期この時刻に見えているものなのかどうか、天文学者たちにはよく分かりません。次は天の川を泳ぐ白鳥座の中の二重星「アルビレオ」を探します。確か白鳥の頭か尾の先の星だった記憶があるので、まず頭の星にねらいをつけます。ところが古い天体望遠鏡はかなりガタがきていて、ファインダーと本体の軸はあってないし、天頂に近い星なので無理な姿勢で観測することになり、なかなか望遠鏡の視野の中に目指す星がとらえられません。

ようやくたぶんこの星だというのを視野に入れたけど、二重星ではありませんでした。白鳥の尾の星だったかと、そちらをまた苦労して探します。ところがこちらもはずれ。では、翼の先の星だっただろうかとこちらも試しますが、やっぱり駄目。ほとんどあきらめかけながらも、もう一度だけ頭の星を探してみます。だんだんと目指す星に望遠鏡を向けて視野にとらえるのも上手になってきて、今度は間違いなく頭の星を見つけました。肉眼で見ると1つの星だけど、望遠鏡で見ると、青白い星とオレンジ色の星がほんの少しだけ離れて見える二重星でした。色の組み合わせがとてもきれいです。

気温は5〜6度くらいなので、天体観測ですっかり冷え切った体を温めに、薪で沸かしたお風呂に入りました。

2日目昼:探検家

「もやい、とけ。」と、マストドンがいった。「さあ、ロジャ。帆船が走れるようになるんなら、こっちはこぎはじめたほうがいいぜ。」
『ひみつの海』P321より

ヨットの準備日曜日の朝は冷え込みました。水温の方が高いので湖面からたちのぼった霧であたりは真っ白。暖かいものが食べたくて朝食はうどんです。

日が昇り暖かくなって来たので、いよいよ待望のヨットです。今回のキャンプの発起人のポートサイドさんは松原キャンプ場の常連なので、ここのヨットのメンシートが短か過ぎたからと新しいシートや、新しいアンカーとアンカーロープを持って来てくださいました。それらをセットして、ジブとメンスルをすぐに上げられるように準備します。

ヨットの出航最初はCOOT、きれいなポリー、四本モミの3人で乗り込んで、いざ出発しようとしたらライフ・ジャケットを着るのを忘れていて一度戻ります。湖から岸に向かって風が吹いているので、まずはパドルで漕いで少し湖に出た所でアンカーを下ろし、ラダーを取り付け、ジブとメンスルを上げ、センターボードを下ろします。アンカーを上げると水草の塊が一緒に上がってきて大笑いです。

風上に向かって出航。間切りながらキャンプ場のある湾を出て、一度ジャイブも試しました。強すぎないいい風が吹いていて、天気も快晴、絶好のヨット日和です。ちょうどそこに、マクギンティさん一家がモーターボートで到着しました。湖の上で「アホ〜イ!」と叫んでの「もう、知りあった」でした。

一度戻り、今度はいーろらさん、マクギンティさん、COOT、四本モミで乗ってまた出航します。湾を出たところで、ヨットは初めてのマクギンティさんに舵を代わりました。目標に向かってまっすぐ進んだり、間切ったり、一通りやりましたがお見事な舵さばきでした。

いよいよヤマネコ島に向かって出航です。

マクギンティ一家のボートヤマネコ島に向かう艦隊は、マクギンティ一家4人の乗る手漕ぎボート、いーろらさん・ポートサイドさん・探検隊の食料を載せた手漕ぎボート、COOT・きれいなポリー・四本モミの乗るヨットの3隻です。(我が家の航海士はキャンプ場でバラブル婦人になって絵を描いていました。)

ヤマネコ島に近づくヨットボート隊は、いくつかの無人島と本土の間の浅い水路を進み、ヤマネコ島と本土の間の狭い海峡を抜けて上陸地に到達しました。ヨット隊は水深が十分ある島々の外側をぐるーっと遠回りして、ヤマネコ島を回り込むようにして、最後はジブを下ろしメンスルだけでゆっくり間切りながら上陸地に近づきました。

過去の探検の記録まずは最初に、過去の探検隊がヤマネコ島に埋めた宝物を掘り出しました。探検の記録が書かれた紙はびっしょりと濡れていたので、一枚一枚広げて乾かします。

お昼は、ランサマイトが集うニフティの会議室で今大人気のレディ・グレイという紅茶を沸かし、パン、ジャム、チーズ、ソーセージなどをたらふく食べました。

ヤマネコ島に作った桟橋四本モミは石で桟橋を作り始めたけど途中で投げ出して、手漕ぎボートに乗って遊び始めました。いーろらさんがその後桟橋作りを続け、とうとう立派なのが出来ました。

ボート遊びきれいなポリーとマクギンティ家のS君は元気に湖に入って泳ぎました。

いかり潟入り口次に探検隊は2隻の手漕ぎボートを繰り出して、複雑な地形をした桧原湖南東岸の中でも一番の秘境「いかり潟」という入り江に向かいます。めんどり・ひよこ岩のそばを通り、吊り橋をくぐり、2つの航路を別々に進んでまた合流し、入り江の奥の小さな隠し場島に子供達だけ上陸しました。いかり潟の隠し場島

またヤマネコ島に戻り、今回の探検の記録を加えた宝物を埋め戻し、艦隊は錨を上げてキャンプ場へと戻りました。

最後にもう一回だけポートサイドさんと私でヨットに乗った後、もうキャンプ場の今シーズンはほとんど終わりなので、ヨットからマストも何もかもはずして、来年の春までしまいこむ準備をしました。

2日目夜:祝宴

「さあ、いそいで祝宴にいらっしゃいな。」と、ブラケット夫人がいった。「みんなもうおなかがぺこぺこでしょ。」
「そうよ。」と、ナンシイがいった。「牡牛のあぶったのを出せ。ジャマイカ・ラムの大たるに穴をあける。偉大な航海がおわったのだぞ。」

夕食は、枝豆とビールで始まり、メインは炭火を起こしてバーベキューです。スペアリブ、カルビ、牛タン、ホルモン、焼き鳥、イカ、ソーセージ、豚トロ、ししとう、かぼちゃ等、・・・いろんなのを焼いてロジャ並の食欲でいただき、最後は飯盒で炊いたご飯で満腹です。

だんだん冷えてきたので、バンガローに入り、マクギンティさんのギターで、昔の懐かしいフォークソングなどを歌いまくりました。こういう時は同年代っていいものです。

この時に歌った歌が、翌日家に帰ってからも翌々日も、頭の中をぐるぐると回っていました。

3日目朝:帰航

ダリエン岬の下で、艦隊は解散した。
みんな口々に、「さよなら」を、「同盟を忘れるな」を、「来年またいらっしゃい」をさけんだ。
『ツバメ号とアマゾン号』P481より

月曜日の朝は、まだ皆が寝ている6時前に起き出して、辺りを散歩しました。湖に沿って北に向かい、誰も泊まってなさそうな隣のキャンプ場を抜け、ヤマネコ島を見て、昨日探検したいかり潟の入り口の吊り橋まで歩きました。

いかり潟の朝湖面からたちのぼる白い霧が朝日に光ってきれいです。

朝食もせっかくなので炭で火を起こしてパンをトーストにすることにしました。炭火でこんがり焼けたパンは、家で食べるのより何倍もおいしい気がします。ジャムも数種類、小さなビンに入ったのから、アール・グレイ味やミルク味などを選んでパンに塗りました。ペミカンもちゃんとあります。飲み物はレディ・グレイ、ココア、コーヒー、日本茶。

後片付けと出発の準備をしている間に、四本モミとS君はディクソンおじさんに誘われて、モーターボートで湖遊覧に出かけていきました。

見送り遅くなると東北道の渋滞が怖いので、COOT一家は一足先に出発です。全員でモーターボートに乗って、車を置いてきた所の近くの桟橋まで一緒に行き、見送ってもらいました。

今度は湖畔の温泉にも行きたいし、カンチェンジュンガ(磐梯山)も登りたいし、ヤマネコ島でキャンプをしながら、ボートを捕りあったりキャンプを奇襲したり(元ネタ:いーろらさん)もしてみたいです。やりたいことはたくさんあります。何年もかけてじっくりと楽しみましょう。


[ return ]