アーサー・ランサムの世界 by COOT

Ideal 18
2年目(1999年)の航海日誌

Since : 1999/05/28
Last update : 2002/01/12

Norwalk Islands(ニューヨーク版の『秘密群島』)周辺の海図

クリックすると拡大します。下の航海日誌に出てくる地名(ほんとうの名前と土人の名前)や、いろいろな事件が起きた場所を確かめるのにお使いください。

5月22日(土):桟橋に挑戦

12:30-16:00、4号艇、天気:晴、風向:南東、風力:微風〜快風

今日は天気も風も良く、最高のヨット日和です。昨日からもうウキウキしちゃってました。ヨットハーバーに着くと、全部で6隻あるIdeal 18のうちまだ2隻しか海に降ろしてありません。どちらもいつものブイではなく浮き桟橋に繋留してありました。

メンスルを上げて、ボーイに船尾のもやいを解けと言うと、船尾が桟橋から離れて行ってボーイが桟橋に置き去りです。桟橋と平行に風が吹いていて、船首は風上を向いているから、船尾のもやい綱をはずしても何も変わらないと思ったのですが、理屈と実際とはよく違います。その後何をどうしたのかよく覚えていないけど、とにかく無事に桟橋を離れて、ジブを上げ、海に向かって間切りながら出て行きます。

なつかしい海賊の島、その大砲、ブイ、それぞれにあいさつしながら、水路を上がって行きました。『ツバメの谷』冒頭のシーンの気分です。どうもスピードが出ずに、いつまでも海賊の島から離れませんでした。

今年の夏休みには、無謀にもノーフォーク湖沼地方でクルーザーを1週間借りて帆走することにしたので、それに備えて、今日は狭い水路を終点まで行き、そこにある桟橋で着艇・発艇の練習をしました。桟橋に着ける前に、船首と船尾にもやい綱を結んでおいて、フェンダーも2つ舷側に吊るします。だから、まだ慣れないので準備が結構あわただしいです。今日はフェンダーがまだ1つしか用意できてない状態で桟橋に着いてしまい、AB船員とボーイにそれぞれ船首と船尾のもやい綱を持たせて桟橋に飛び移る用意をさせていたら、ジブを巻き上げる人がいなくて、あわててボーイがジブを巻き上げて、また船尾のもやい綱をつかんで無事に繋留できました。教えていなかったのに、クリートへの結び方はボーイはちゃんと出来てました。AB船員はちょっと惜しかったです。

そこには一匹の白鳥が陸に上がって座り込んでいました。まるで卵を温めているかのごとくじっとして動きません。AB船員がそっとそっと少しずつ近づいて行って、最後は白鳥に触ったらようやく重い腰を上げて歩き出しました。

桟橋からの出艇は、先に船尾のもやい綱をはずし、船首のもヨットに乗ったままはずそうとしたらうまく行かず、結局またボーイが降りて走ってはずして、またヨットに飛び乗って、何とか出発しました。桟橋からの発着はまだ何度か練習する必要がありそうです。

帰りは一隻のクルーザーを気分良く追い抜きましたが、もう1隻のIdeal 18にはぐいぐいと追い上げられました。あちらは水路の左側、こちらは水路の右側にいたのですが、どうもあちらの方がいい風が吹いているようです。今までは一度もどこにいい風が吹いているかなんて意識したことがなかったのですが、ちゃんとしたヨット乗りはそうやって風を読むらしいです。まだまだ奥が深い。

帰ってきた時に、ブイに旗がついていればブイに繋留、そうでなければ桟橋に着けてくれと言われていたので、旗のついたブイを探しながらハーバーに戻ると、どうも無さそうで、じゃあ桟橋に繋ごうとまたもやい綱の用意をしました。すると突然すぐ横に旗のついたブイがあるのに気づきました。もう間に合わないので、一度通りすぎて、ジャイブしてぐるりと回って戻ってブイを捕まえようとしたら、それは別のブイでした。またブイを落として、ようやく正しいブイに向かい捕まえました。いつもは6隻のIdeal 18のうち、いくつかはブイに繋がれているのが目印ですぐに分かるのですが、今日はそれがなくて戸惑いました。まだ今日は半年以上ぶりで、かなり勘が鈍っているのが分かりました。明日もまた予約しましたが、どうも天気が悪そうです。早く泳げるくらい暑くなって、島に渡りたいです。

5月28日(金):河口を偵察

13:45-17:00 1号艇、天気:晴、風向:南、風力:弱風

今日はメモリアル・デイの週末で、学校は休み、会社も休んで午後はヨットにしました。先週はまだ2艇だったのが、今日は3艇使えるようになってます。全6艇が勢ぞろいするのはまだみたいです。信じられないのは、うちはこうやってせっせと週末に乗っているのに、他の人はまだほとんど乗ってなくて、予約表もガラガラなことです。皆、泳げるくらい暑くなってから乗るつもりなのでしょうか。もったいないなあ。

ヨットハーバーがある入り江の一つ西隣の川の探検をしてみたくなりました。川幅があまりないので、ノーフォークに備えるいい練習になりそうです。まずは、河口のブイまで行ってみました。陸に近づくにつれて風が弱まってきて、ほとんど停まってしまいました。それに、今日は南風なので、北から南に流れる川を遡るのは良くても、帰りは狭い所を間切るわけにもいきません。西風か東風の時に挑戦することにしましょう。

時間があるので、次に西の海の中の灯台をぐるりと回ってから水路を上り、なつかしいツバメ島の錨泊地で、アンカーを降ろしました。が、時間切れで、すぐにアンカーを上げて大急ぎでヨットハーバーに戻りました。5時までの予約で、次に乗る人もいるかもしれないので、少しあせりながら戻ると、ブイに繋いだのがちょうど5時きっかりでした。後片付けを考えるとちょっと遅刻かもしれません。

先生に川のことを聞くと、まだ自分は行ったことはないけど、ここに行った人がいるから聞いてみようと、ちょっと年配の人に尋ねます。狭いところなので、その川にボートを係留している人達から、ぶつけるなよ!みたいに怒鳴られるかもしれないとのこと。でもその年配の人が立ち去った後、先生は「大丈夫大丈夫、風と潮がいい時にぜひ行ってみろよ!行ったらどうだったか教えてくれ。」と、言ってました。この先生もかなり海賊なようです。

5月29日(土):臨時船員雇用

12:30-16:00 4号艇、天気:晴、風向:南西、風力:快風

ARCの仲間のディックのカメラさんが、出張で3週間くらいニューヨークに来られているのをお誘いして、今日は、船員雇用契約書に臨時AB船員として署名していただき、一緒にIdeal18に乗りました。

船員皆の日頃の行いがいいのか、絶好のセーリング日和です。

風がかなりあったので、大きな波に一度船首から突っ込んで水を浴びたりしながら秘密群島を一周するグランド・セーリングのコースを行きます。灯台の島の裏側からビーチエンド・ブイを目指しながら、ヨットの上で昼食。カモメ・ランドの南にある小さな島(未踏査)に「シンバッド島」と命名しました。干潮の時にはカモメ・ランドとつながる島です。

お昼を食べた後は、かなり風はあったけど、ディックのカメラさんがティラーを握り、ビーチエンド・ブイを周り、東の海の中にそびえる灯台を周り、水路に戻るのに間切りました。

水路の途中から風がぐるぐる回ったり、ぱったり止んだりして、一部気の早いボーイがオールを出して漕いだりしましたが、最後はまた強い風を受けて、海賊の島の大砲のそばを通り、ヨット・ハーバーに5分の遅刻で戻りました。今日は風が強かったけどブイをうまくつかまえられて満足です。

5月30日(日):再び灯台の島へ

11:45-15:15 1号艇、天気:晴、風向:南、風力:微風→凪

今日もディックのカメラさんと一緒です。

昨日よりも暑く、とってもいい天気なので、今日はひょっとしたらツバメ島まで泳いで上陸できるのではないかと、一応それなりの用意をして出発しました。

ところが、風がそよそよです。ノロノロと海賊の島をようやく過ぎ、水路に出る辺りからやっとまあまあの風となりました。でも、これだとツバメ島まで行って帰るだけの風はありません。予定変更、灯台の島へ行くことにしました。去年、ヨットを始めた一番最初の日に行って以来です。

今までずっとやりたかったけどやらずにいた事を、今日とうとうしました。ふっふっふ。大きな海賊旗を上げたのです。黒地に白でどくろと骨のぶっちがいが描いてある立派なやつです。今日は最後にハーバーに帰るまで、ずっと誇らしげに海賊旗を翻してました。

灯台の島には一応桟橋がありますが、観光船もやってくるので、繋留は禁止されているそうです。でも、ちょっと着けてヨットから離れなければ大丈夫だろうと、桟橋に近づきました。アンカーを用意し、船首と船尾にもやい綱も結んで、フェンダー(防舷物)もすぐに出せるようにしました。ちょうど桟橋に近づいた時に、桟橋につないであったモーターボートが出発しそうだったのと、左舷を接舷するつもりでもやい綱をセットしたけど、右舷にした方が良さそうだったので、桟橋のそばで一度Uターンして、また準備をやり直してから、そろそろとまた近づきました。桟橋にはもやい綱を受け取ってくれる人がいたので、2mくらい離れたところからAB船員が投げて、その時になってまだフェンダーをぶら下げてなかったことに気づいて、あわててセットして、船尾のもやい綱も渡して繋留できました。

「ここで人を降ろしたら、沖に移動してアンカーしてくれ。モーターボートで迎えに行くから。」と言われ、航海士とディックのカメラさんは先に桟橋に上がり、私とAB船員・ボーイで、沖にアンカーしてから迎えにきたモーターボートで島に上陸しました。

また灯台の上まで登って周りを眺めたり、少し島の海岸を歩いたりしました。とっても気持ちのいい島です。カブトガニの甲羅がたくさん海岸に転がっていたので、一つもらいました。

帰りはぱったりと風が落ちてしまい、去年の最初の日に灯台の島に来た時と同じく凪です。仕方ないので、またパドルでえっちらおっちらヨットハーバーまで漕いで帰りました。

6月6日(日):もっと風を!

11:45-14:45 1号艇、天気:晴、風向:南西、風力:弱風

天気予報では15ノット以上の風とのことで、ちょっと強めかと思っていたら、弱弱しい風でした。ここのところいつも南西の風です。もう少し西よりか北西の風ならアマゾン川の探検に出かけるのですが、南西だと川の奥に侵入できても戻る時に向かい風になってしまいます。

3時から上級者のレースがあるので、絶対に遅刻できないから、今日は水路を上がって行く途中で早めにUターンして、灯台の島の桟橋の近くまでまた行ってから、ハーバーに戻りました。風が弱いのであまり遠くに行けません。

桟橋からこちらに向かって大声で叫んでいる人がいます。後ろから来ているクルーザーに向かって叫んでいるのだろうということにして、ブイに向かおうとすると、また叫んできました。たぶん次のレースに出る人で、ブイじゃなくて桟橋に着けてくれと言っているようです。AB船員とボーイに急いでもやい綱とフェンダー(防舷物)の用意を命じます。フェンダーは間に合ったけど、桟橋に着けた時にはまだもやい綱は用意できてませんでした。大声を出した人が「あわてなくていいから」と言ってヨットを押さえている間に、ようやく船首にもやい綱を結んで桟橋のクリートに留めました。

夏のノーフォークに備えて、最近家ではヨットの本ばかり読んでいるのですが、今日家に帰ってきてからたまたま読んだ所に、ヨットの着岸の様子を見ていると上手な人と下手な人の差がよく分かると書いてありました。熟達者は「静か」に着岸するのに対して、初心者は艇長が乗組員に対して大声で何やかや言っているそうです。今日の着岸は典型的な初心者の船を演じてしまいました。(^^;

6月12日(土):アマゾン川に海賊現る!

12:30-14:30 1号艇、天気:曇、風向:東、風力:快風〜強風

今日は待望の東風で、潮も満潮から干潮に向かう下げ潮。アマゾン川の探検にはもってこいの条件です。北から南に流れる川なので、東風なら行きも帰りも間切らずにすみます。川の流れと下げ潮に打ち勝って往きに川を遡れれば帰りは問題ないはずです。今日は風もかなり強いです。川の両側の木や建物で風はどうしても遮られるので、強めの方が好都合です。

風がいいのでハーバーを出てお昼のサンドイッチを食べ終わらないうちに河口まで来てしまいあわてて飲み込みました。喉が乾いたまま入り口の赤と緑のブイの間を通ってアマゾン川への侵入を開始です。追い越して行ったモーターボートの航跡をたどって行きます。海図によると右側には浅瀬がありそうなので、左よりに行かなくてはと気にしていましたが、両側にクルーザーが繋留されているので、その間を通って行きさえすれば大丈夫なはずです。

川に入ってわりとすぐの所に繋留してあるクルーザーに何と海賊旗が上げられていました!うちのよりもずっと小さな旗ですが、マストの途中から横に飛び出しているスプレッダー(クロスツリーズ)の下の正式な場所?に上げられていました。スゴイ!アマゾン川には本当に海賊がいました。

ほとんど止んだり時々襲ってきたりする風に助けられてどんどん川の奥に侵入します。左に大きく開けた水面が現れましたが、クルーザーは右手の方に2列に繋留されているので、その列の間を進みます。水路の端を風上ギリギリに向かっているので、前から後ろからモーターボートが来るたびに緊張します。でも「こんな狭い所で帆走するな!」みたいな罵声を上げる人は誰もいなくて、土人はみな友好的に手を振ってくれます。

ビッシリとたくさんのクルーザーやモーターボートが両側に繋留されています。ここにボートを持っている人は出艇も着岸も大変そうです。水路が狭くなって右に曲がるように見える所までやってきました。その先には大きなモーターボートが動いているので、今日はここまででUターンします。帰りもわずかな風でノロノロと進みながら、河口へと戻ります。

オールで漕ぐボートが衝突するような角度でやってきました。おいおい、こちらは自由が利かないからへさきを横切るような無理はやめてくれよ〜と、見ていると最後に避けてくれました。ホッ。

無事に河口まで戻り海に出ると、風も波も強くなっていてかなりのヒールで走り出しました。海賊どもはキャッキャッと大喜びですが、今日は航海士が買物があって留守番しているので、去年の嵐と危機一髪の時の記憶から、慎重になるのは私の役目です。海賊どもはブーブー言ってましたが、今日は無理せずに早めにハーバーに戻ることにしました。

ハーバーに戻ると入り江の中なので風もほとんど無くなりました。そこで、この入り江も奥の行ける所まで行って探検することにしました。両側に立つ赤と緑の印のついた杭の標識の間を奥へと進みます。風がほとんどなくてノロノロです。時々モーターボートやクルーザーが行き交うので、水路の端に寄ります。その時の風の方向で左に寄ったり右に寄ったりします。原則は水路の右側を通るのが正しいのですが、こちらは何と言っても風次第です。

前から来たクルーザーを避けるのに水路の右の方に寄ったら、キールが少し底をかすったような感じが2度ありました。ここが限界そうです。クルーザーが通りすぎるや否やジャイブしてUターンしました。またノロノロと戻り、予定時間の1時間半も前にブイに繋留しました。でも、今日は短いながらも大満足の航海でした。

6月19日(土):難しい発艇

16:00-19:40 3号艇、天気:晴、風向:南南東、風力:快風

今日は天気、気温、風の強さがどれも最高に快適でした。いつもは12時頃から3〜4時頃まで乗ることが多いのですが、今日は他の用事があったので、4時から夕暮れまで乗りました。これが大正解。後に乗る人がいないので時間を気にしなくていいし、今が一年で一番日が長い頃なので、日が沈む8時半くらいまでゆっくりできます。

南風で満潮に近い時刻なので、灯台の島一周コースにもってこいです。このコースは2度目の挑戦ですが、航海士は初めてです。煙突と島の端を重ねる導灯の線に沿って、両側に見えない岩礁がある水路へ進入し、無事に通り抜けました。まだ名前を付けていなかったので「導灯水路」と命名します。

まだたっぷり時間があるので、水路の終点まで行くことにしました。真後ろから風を受けながら港の水路を上ります。ふと気がつくとナント、今日は終点の跳ね橋が開いてます。車をとめて橋が開いているのを見るのは初めてです。大きな船がもう通った後なのか、また橋はゆっくり閉じてしまいました。Ideal 18のため に交通を遮断してあの橋を開けてくれることはきっとないのでしょうが、気になります。

橋の手前、左側の岸にレストランがあります。ここにいつか接岸して食事をしてみたいのですが、今日はかなりにぎわっているようで、時間もそこまでないので、橋の手前でUターンして反対側の岸にある桟橋に着岸しました。まだスピードがありすぎて先に繋留してあったクルーザーにぶつかりそうになって少しヒヤッとします。

さて、次は桟橋からの発艇の練習です。今日は、風が桟橋に完全に平行ではなく、少し桟橋側に向かって斜めに吹いています。ということは、ヨットは風下側の岸に少し押されるような風なので、発艇が難しいのです。(そもそも、そういう風下側の岸に接岸することは避けるべきことですが、そうもいかないこともあるし、今日は練習です。)

船尾、船首のもやいを解いて、ボーイがヨットを桟橋から押し出しながらギリギリに桟橋からヨットに乗り移ります。ところが、まだセールに風をはらんでヨットが前に進み始めるより前に、風に流されてヨットはまた桟橋に押し付けられてしまいました。今度は、船首が桟橋から離れるように押してからボーイが桟橋からヨットに乗り移りました。ところが、船尾が桟橋にぶつかりそうになるのを避けるためにAB船員が船尾から桟橋を蹴ると、船首がまた桟橋の方を向いてしまい、風に吹かれてまた桟橋に戻ってしまいました。対岸のレストランの客のいい見世物になってます。

3度目は、2度目と同じようにしながら、船尾から桟橋を蹴らずにぶつからないようにするだけにしました。ようやく船首がぐるーっと桟橋から離れるように回ってセールに風をはらみ、前に進み始めて出発できました。

着岸よりも発艇の方がずっと難しいことが分かりました。着岸はまだヨットが動いている状態で岸に近づくので舵も効きます。もやい綱を持った人が岸に降りさえすれば、もやい綱を引っ張って最後のコントロールは出来ます。発艇は、ヨットが動き出して少し勢いがつくまでは舵も効きません。

そこからハーバーまでの帰り道は、日暮れ時の海の感じがとっても良かったです。夕凪を恐れていたのですが、風は全然衰えないどころか、少し強くなって快適なセーリングでいいスピードです。途中でなんと「WildcatII」つまり「ヤマネコ 2世号」という名前のモーターボートに追い越されました。ひょっとしたらランサマイトだったのかもしれません。

6月20日(日):速いぞ!

12:00-14:45 4号艇、天気:晴、風向:東南東、風力:快風

今日もとってもいい風が吹いています。

同じ渡し船でうちも入れて3隻のIdeal 18に乗組員が乗船して、それぞれ出航準備をしました。うちは人手が多いので、真っ先に準備が出来て出航です。ちょっと遅れてもう1隻が追いかけてきます。最初からレースの雰囲気です。

AB船員2人も後ろを何度も振り返りながら追いついてくるか引き離すか気にしています。あっ、そうそう、昨日の航海で、特に桟橋からの発艇での働きぶりを評価して、四本モミはボーイからAB船員に昇進しました。四本モミが皆さんにぜひ忘れずに伝えてくれと言うので書いときます。

灯台の島の方向を目指して風上一杯に向かいます。風が強い時に風上に向かうとかなり風下側にヒール(傾く)するので、四人とも風上側に座ってヒールを殺します。そうするとさらにスピードが出るのですが、どうも後ろから来るIdeal18 に少しずつ追い上げられているようです。

灯台の島に上陸しようと思っていた計画を変更して、ツバメ島に行くことにしました。水路に出るあたりでタック(転回)しました。後ろのヨットは逆方向に行くようです。と思ったら、じきにあちらも転回してまたこっちを追いかけてきました。こんどはどうもじわじわと引き離しにかかったようです。いいぞ、いいぞ、速いぞ、速いぞ。

快調に飛ばしてツバメ島沖のいつもの場所にやってきて、アンカーを降ろしました。今日はバッチリと一発でアンカーが効いてます。まだ泳ぐには寒いので島への上陸は出来ませんが、島を眺めながらお昼ごはんを食べました。きれいなポリーは早く「いけにえの島」に行ってみたいとよく言います。聖地巡礼のためしばらくIdeal 18には乗れませんが、次に乗るときには暑くなっていて泳いで島に渡れることでしょう。

7月17日(土):夜の海

15:45-19:00 5号艇、天気:晴、風向:南南西、風力:快風

夏休みの旅行(聖地巡礼)のためIdeal 18に乗るのはほぼ一ヶ月ぶりでした。その間にすっかり夏になり、ようやく泳げるようになりました。

さっそくツバメ島のいつもの錨泊地に向かい、今日は出来るだけ島に近い所にアンカーを入れることにしました。ツバメ島が風下になるので、アンカーが効かないと島の方に流されてまずいことになるのですが、しっかり効いたので、島からすぐの所でIdeal 18はとまりました。

「今日は調子が悪いから泳がない」と言って海水パンツを置いてきた四本モミが、「えっこんなに近いの?」と言って、ちょっと後悔している様子です。そのまま泳いじゃえと皆で言いましたが、結局、私ときれいなポリーだけ泳いで、久しぶりにツバメ島に上陸しました。今日は手旗を使わなくても声でヨットと島の間で話が出来ます。

ちょうど満潮を過ぎたばかりの時刻なので、まずは紅海横断〜エジプト人をして、隣の土人の島まで歩いて行きました。紅海横断道路が水没しているのを渡るのはまだ2回目です。よく見ると、陸側からは大きなうねりがやってきて、海側からは小さな波がやってきて、ここでぶつかっているようです。

ヨットに戻り、アンカーしたまましばらくのんびりと過ごしました。帰りは風が強くいいスピードで水路を間切りながらハーバーに戻りました。

さて、今日はIdeal 18のメンバーのミッド・サマー・パーティの日です。クラブ・ハウスの広いデッキで、だんだん暮れ行く海を眺めながら、ビールやカクテルを片手にバーベキュー。レゲエ・バンドもやってきてライブの演奏をしています。

突然「ドッカーン!」大砲が鳴り響きます。すわっ、海賊の攻撃か?はたまた、屋形船からフリント船長の反撃か?一斉に全員が起立して、旗の方を向きました。おごそかにクラブ旗と星条旗が、ゆっくりと旗ざおから降りてきました。毎朝・毎晩、こうやって旗を上げたり下げたりするようです。ヨットクラブの伝統なのでしょう。ちょっと感激。そのための全長50cmくらいの小さな大砲が本当にあるんです。

動いている船には航海灯がともり始めました。緑と白、赤と白、時々運良く(?)緑から赤やその逆に変わるのが見れます。赤と緑が両方一緒に見えるのは、まっすぐこちらに向かってくる船だけなので、たいていはどちらか一方しか見えません。赤と緑に加えて白があるのはエンジンで動いている船です。帆走しているヨットは赤・緑だけです。赤も緑もなくて白だけなのは、こちらから遠ざかって行く船です。いろんな色の蛍がそれぞれのスピードであちこちで動いているのを見るのは面白いです。ヨットクラブの桟橋には赤−白−赤の灯がともりました。これは、どういう意味なのかよく分かりません。

すっかり暗くなりました。パーティをちょっと抜け出して半島の一番先まで歩いていきました。いつも見ている水路の両側のブイのいくつかは夜になると光ります。それを見るためです。ありました、4秒毎に赤くピカッと光るのがそれみたいです。夜間航海に憧れてしまいました。

7月24日(土):落水

12:45-15:00 6号艇、天気:もやった晴れ、風向:南、風力:凪

今日は、日本から遊びに来ている妹と甥っ子2人(9歳と6歳)が船客として乗船しました。無人島に行きたい!とのことで、ツバメ島を目指して出港します。ところが、ハーバーに着いた頃はいい風だと思ったのに、そよ風程度しかありません。それも海賊の島のあたりでなくなって、ベタ凪となってしまいました。予定変更、パドルで漕いで灯台の島を目指すことにします。

パドルが2本あったので、AB船員2人をエンジンにして、両舷で漕がせます。「両舷半速前進!」モーターボートが行き交う水路を出来るだけ邪魔にならないように横切らなくてはなりません。「両舷全速前進!」

水路を横切るや否やエンジンがへばったので、私が漕いでいる時です。突然、ボッチャーンと音がして背後で妹が大騒ぎ。うわっ、じっとしてない甥っ子が海に落ちたか?と振りかえると、何と落ちて海の中にいて妹の手につかまっているのは四本モミでした。おいおい、しかも今日は暑い上にベタ凪の中をノロノロ進んでいるので、ライフジャケットは脱いじゃってました。

もう一人ノロマがいました。この騒ぎで、さっきまで漕いでいたパドルはどうしたかなと見ると、海の上に浮かんで後ろの方に漂っています。私もあわててパドルから手を放して海に落としたことさえ気づいていませんでした。もう一本のパドルでUターンして近づいて回収しました。

四本モミはどうして落ちたのかよく覚えていなくて、あっと気づいたらもう水の中だったそうです。今日は笑い話ですんで良かったです。

遠くで雷鳴がゴロゴロ鳴り出したので、もう灯台の島も止めて、ハーバーに戻ることにしました。パドルで漕いでいる姿を見て、モーターボートが曳航してあげようか?と近づいてきましたが、お礼を言って断りました。自力で帰れます。それから数分後、突然、ベタ凪から一転して強風が襲ってきました。グワーンとヒールします。メンシートをゆるめて風を逃がします。暑い夏の午後に起きやすいサンダー・ストームが急接近しているようです。去年、危機一髪で嵐の寸前にハーバーに戻れた時のようにならないといいのですが。今日は小さな子を乗せているので、特に責任重大です。とにかくまっすぐにハーバーを目指します。突風が2〜3度来た後は、風は強風から少しまた弱くなりました。無事にハーバーに戻り、ブイに繋ぎ、上陸しました。 その後は、嵐も結局来なくて、ずっといい風が吹いたままでした。小さな子を乗せた別のIdeal 18で、今から出て行くのもあります。でも、何の前触れもなく突然の強い風を経験した直後なので、もう小さな子を連れて出なおすのは止めました。

8月7日(土):カニ島初上陸、犬小屋発見

12:15-16:00 5号艇、天気:晴、風向:南南東、風力:快風→強風

AB船員2人がサマーキャンプに行っているため、今日は航海士と2人だけです。いい風に乗って水路を上り、ツバメ島・土人の島の北側を通って、サルガッソ海の入り口にやってきました。

サルガッソ海の入り口の両側には浅瀬があるため、進入するにはカニ島の南端とその奥のビーチエンド・ブイを重ねる導灯を使います。今日は向かい風になるので、どうしようかなあとちょっと迷いましたが、小さく間切りながら進入を開始しました。

浅瀬からは十分に離れた所からカニ島へ接近します。海図によれば、島のすぐ近くまで十分な水深があるのですが、今日は風が強いので無理はせずにかなり離れた所でアンカーを降ろします。メンスルを降ろしてたたんで、ほっと一息です。

航海士は釣りを始めました。私はまわりの景色をのんびり眺めながら、アンカーがちゃんと効いているか、ヨットが流されてないか確認します。その間に10cmくらいの魚が一匹釣れました。去年も含めて、ヨットから釣りをして魚が釣れたのがこれが初めてです。やった〜!

アンカーはしっかり効いているようなので、私はカニ島への上陸をくわだてます。まず、海の中に入って、潮の流れを確かめます。今日はほとんどないようです。よし、これなら島まで泳げそうです。まだ100m以上ありそうですが、ライフジャケットを付けたまま、のんびり島まで泳いで渡りました。

波打ち際は打ち上げられた海草が日に干されて黒くなったのが散乱しています。それ以外は石と貝です。もう少し上がると、一面に青紫色の貝でびっしりです。濡れてもいい靴をはいたまま泳いできたので、貝の上をピシピシ言わせながら歩きます。たくさんいるカモメがこちらを警戒しているようです。島の反対側へ行くと、さらにたくさんのカモメと、その奥にはウミウがいます。どちらも私を気にしているようなので、それ以上は近づきませんでした。

島の中央には一軒の小屋があります。遠くから見た時は、人も住める家かと思ったのですが、近づいて見るともう人が使わなくなってから何年も経ったような石づくりの小さな小屋でした。草をかき分けて入り口に近づきます。鳥の糞の臭いがくさいです。中をのぞくと、おお、これは聖地で見てきたばかりの犬小屋にそっくりです。中はがらんとして何もありません。大きさは本物の犬小屋より少し小さめかもしれません。臭いがいただけないので、ここではDきょうだいが住むのはちょっとという感じです。小屋の近くには、一本の立派な旗ざおがあります。枯れた木立とヤブが少しあり、それ以外は何もない鳥たちの天国のような島です。

またヨットまで泳いで戻ると、釣れた魚は3匹になっていました。

帰りは風が強くなっていて、秘密群島をぐるりと1周して灯台の島を南から西へ周って帰ろうかと出発しましたが、波が大きくて荒いので、Uターンして水路を戻ることにします。それでも一度大波に船首が突っ込んで、航海士がびしょ濡れになりました。

ハーバーに戻ると風が湾を囲む木立に遮られるのか、穏やかな風になります。それが、このハーバーのいい所です。風が強いという印象があり過ぎたのと、AB船員ではなくて慣れない航海士がブイをつかまないといけないので、ちょっとギリギリを狙い過ぎて、最後にブイに風下から接近するのに届きませんでした。やり直してから無事にブイをつかまえ、今日の航海を終えました。

家に帰って、3匹の魚はから揚げにして食べました。

8月22日(日):カニ捕りワナ

11:30-15:15 4号艇、天気:曇、風向:北→南東、風力:弱風〜快風

AB船員2人がサマーキャンプを終えて帰ってきたので1ヶ月ぶりに乗組員全員が揃ってのヨットでした。

今日は気温も低くとっても空気が澄んでいて、ロング島やマンハッタンの摩天楼がくっきり見えます。空はどんよりと恐ろしげな黒雲や白・灰色の雲に覆われていて、雨がいつ降り出しても不思議はない天気なのですが、今朝の天気予報では風も安定しているし、サンダーストームの心配もないので、出航することにします。いつもは出発する時と水路を帰ってくる時に間切ることが多いのですが、珍しく北風なので、ヨットハーバーを追い風で出発し、水路を間切って上ります。とにかくいつもと何もかも違う雰囲気の中でのセーリングでした。

1時間半かかってカニ島のそばの錨泊地にやってきました。風が弱いので、わりと島のすぐそばまで安心して近づいてアンカーを降ろします。気温は低いけど、水温はわりとあるので泳げそうです。きれいなポリーは水着を忘れてきてしまったので、服のまま海に飛び込みます。四本モミは釣りの方がいいのか水が冷たいのが嫌なのか泳がずに残ります。私ときれいなポリーで泳いでカニ島に上陸しました。AB船員にとっては初上陸です。また犬小屋を探検して、今回は浜辺におびただしい数のカモメの巣も見ました。戦利品として、テニスボール2個、ドッジボール1個、防舷物2個を手に入れて、ヨットまで泳いで持って帰りました。

その間、四本モミと航海士は、ヨットから釣りとカニ取りです。カニを取るためのワナを今日は持って来たので、それに生肉をセットして、ドブンと海に投げ込みます。ワナは、海底に着くと金網が開きます。カニが引っかかるのを待って、おもむろにロープを引っ張ってワナを引き上げると、金網が閉じて、もし生肉におびきよせられたカニがいれば捕まえられます。成果は、胴体が4cmくらいのと8cmくらいのと2匹のカニを捕まえました。でも、見るからにおいしくなさそうな姿形をしているので、逃がしてしまいました。

いつの間にか風向きが東寄りに変わっていて、帰りはカニ島を出発してからハーバーのブイに繋ぐまで、一度もタックもジャイブもしないで帰れました。これもとっても珍しいことでした。

8月28日(土):いけにえの島で野蛮人のお祭り

12:00-16:45 5号艇、天気:晴、風向:南西、風力:快風

ボストンに出張中のGrogさんが、朝6時半にあちらを発って片道3時間の道を運転して来てくださいました。聖地のアルバム等を見ていただいた後、一緒にヨットハーバーに向かいました。

今日は、念願の「野蛮人のお祭り」を決行することにします。濡れては困る物を泳いで島まで持って行けるように、小鬼号がわりの浮き輪のようなもの(でも真中に穴はない)を曳航していきます。

いい風が吹いています。あっという間にツバメ島の近くまで来ました。南西の風だと、いつものツバメ島やカニ島の錨泊地では、島が風下になるので風が強い時にはちょっと避けたいし、野蛮人のお祭りだからやっぱり「いけにえの島」でやりたいです。干潮の時には座礁の恐れがある浅いところですが、今日は1時が満潮なので、初めて土人の島といけにえの島の間の海に北側から進入して、アンカーを降ろしました。アンカーはしっかり効いているようです。

お祭りの食べ物、戦闘用水鉄砲2丁とナイフ、火をつけるためのライター、カメラ等を載せた小鬼を、いけにえを縛るのにも使えるロープで引っ張りながら、島まで泳ぎます。かなりの距離があったので、まだかまだかという感じで、航海士は途中で断念しそうになりましたが、潮流もそれほど強くなく、無事に全員がいけにえの島に上陸できました。

上陸した場所のすぐそばに、土人のかまどや、地面に立てられた支柱があって、お祭りにいいところがありました。念のため、私とAB船員2人はあたりを偵察して、もっといい場所はないことを確認します。去年、この島に上陸した時に見た、いけにえを縛り付けるのにおあつらえ向きの十字架は、見当たりませんでした。AB船員達は、ヤマブドウらしき赤い実を見つけたので、出陣化粧をするために残り、私はお祭りの場に戻って、戦闘に備えます。まず水鉄砲に弾を充填して、いけにえを縛るロープに輪を作ります。Grogさんは、いけにえを焼くための火を起こします。

「ガチッ、ガチッ、ガチッ」と何か音が聞こえてきました。石と石を打ち合わせる時の音に似てますが、どうも野蛮人が太鼓を鳴らしているようです。突然雄たけびと共に、ヤブの中をかき分けて、顔や身体に赤い化粧をして血だらけになった野蛮人2人が襲撃してきました。私と航海士は鉄砲で応戦します。Grogさんは「武器がない、武器がない」と言いながらも果敢に迎撃します。私の鉄砲は、奪われてしまいました。弾が海水なので、撃たれて目に入って目がしみます。ひるんだ私を置いて野蛮人はGrogさんと航海士の攻撃に回ります。チャンス!私は、用意してあったロープを持って、そっと野蛮人の首領の後ろから近づきます。さっとロープをかけて、支柱にぐるぐる巻きに縛りつけました。

さらに水鉄砲攻撃を加え、野蛮人はとうとう降参しました。Grogさんのおかげで火も威勢良くついたので、ナイフで野蛮人の肉をそぎ落とし、タコスやサンドイッチにはさんで食べました。野蛮人と探検家の役割が史実とかなり違ってますが、いずれにせよ両者は最後には仲良くお祭りをしたのでした。

お祭りの後、野蛮人も探検家に戻り、島の探検に出かけました。

島の南西端からカモメ・ランドの方に延びている浅瀬を行ける所まで行ってみることにします。干潮の時には姿を表す浅瀬ですが、今は満潮を1時間ちょっと過ぎたくらいなので、最初は腰くらいの深さで、その後お腹くらいになってきましたが、まだまだ歩けます。だんだん潮流が強くなってきます。潮流に向かって歩いているので、かなり歩きにくいです。四本モミは途中で断念しました。四本モミに付き合ってGrogさんも一緒に島に戻ります。私ときれいなポリーは、潮流が強くてもうそれ以上行けない所まで行ってみました。帰りは潮流に押されて、さっさと歩いて戻ります。泳ぎたいけど、左右にはずれると深くなるので、大又で歩きながら浅瀬をはずれないようにして島に戻りました。

島の反対岸を伝ってお祭りの場に戻り、また一休みしてから出発です。潮流が強いのがちょっと心配です。ヨットに真っ直ぐ向かわずに、潮流を考えて斜めに泳ぎながら行くことにします。荷物を載せた小鬼は、最初私が押しながら泳ごうとしましたが、うまく進まないので、きれいなポリーにロープを渡し、引っ張ってもらうことにします。そしたら、何時の間にか、Grogさんが小鬼を引っ張って泳いでいます。

最初は潮流もあまりなくて、皆、油断してだんだんヨットの方を目指して泳いでいます。ヨットに近づくに連れて、潮流が強くなってきて、だんだん右の方に流されるので、最初に考えていたように左斜めに泳ぎますが、果たして潮流より早く泳いでヨットにたどりつけるかどうか怪しくなってきました。

そこに救いの手が現われました。AB船員どもが、失礼ながらその音から「ハエ」と呼んでいる「ウォーター・ジェット」(水上バイクみたいな物)です。親切なハエが近寄ってきて「引っ張ってあげようか?」とのお申し出に、喜んでお願いします。最初に、まとまって泳いでいた私ときれいなポリーと航海士がハエにつかまって、ヨットまで引っ張られて行きました。ゆっくり進んでくれているけど、かなりの水圧です。海水パンツが流されそうになってあせります。次に、船尾の方に流されてしまっているGrogさんときれいなポリーも小鬼と一緒に引っ張られてきました。ハエさん、どうもありがとうございました。

帰りは、途中から水路に出るまでGrogさんが舵を取りました。ディックみたいによそ見をすることもなく、風上一杯のコースをちゃんと考えながらの、お見事な舵さばきでした。

8月29日(日):滅茶苦茶な風と波

12:00-14:45 3号艇、天気:晴、風向:いろいろ、風力:いろいろ

昨日、いけにえの島から帰ってきた時に、ハーバーのヨットの先生にまたいろいろと新しい場所を教えてもらいました。スポーツやレースのためではなくて、海賊や探検のためにヨットをしているという、うちの好みをそれとなく分かっているようで、それにふさわしい場所が次から次へと先生の口から出てきて、海図に定規と鉛筆で線を入れながら、また夢をふくらましてくれました。

最近は出航するたびに上げている海賊旗にも気づいていたようで、「I like your flag!」と言っていました。前々から薄々と、この先生には海賊の血が流れているのではないかと感じていたのですが、かなり決定的になりました。

出航すると、繋留してあるクルーザーの一つから、「今日は旗はどうしたんだい?」との声がかかりました。あっはっは、我が家の海賊旗は、ここにも知られていました。さっそく四本モミが上げます。

今日は、海賊ジムに教わった場所の一つを試そうと思っていたのですが、風はちょっと強めだし、それよりも異常に波が高くて、ちょっとその気になれません。この波は、ハリケーンがフロリダの方に接近しているのと関係があるのかなあ。水路を上ってツバメ島に向かいますが、途中で風がなくなってしまい、また引き返します。今日は3時から上級者のレースがあるので、それまでに必ずハーバーに戻らないといけないからです。

結局、灯台の島のそばにアンカーを降ろし、ヨットの回りで泳ぐことにしました。お昼を食べて、存分泳いだ後、ハーバーに向けて出発です。ここからハーバーまでの1海里の間に、風向と風力がめまぐるしく変わりました。一体この天気は何なのでしょう。凪になったり強風が吹いたり、風向も全く一定せずに、同じ針路なのに風向だけ急に変わって自動的にタックしたりもしました。ハーバーに近づくと、回りにたくさん繋留されているクルーザーが、それぞれあちこちを向いていて、風向が一定していないのがよく分かります。

かなり風が強くなった中、1回目でブイを捕まえそこない、ジャイブしてやり直して、2回目でうまく捕まえました。

9月12日(日):ラグーンの島に初上陸

11:45-16:45 1号艇、天気:晴、風向:南、風力:快風

今日は絶好のヨット日和です。秘密群島の一番東にある、馬蹄型の入り江を持つ島への初上陸を目指して出発しました。方向も強さもいい風で、転回(タック)を1回しただけで、1時間余りの帆走の後、目的の島に近づきました。

この島の西側からは、延々と長い砂洲が北西にのびています。奥にそれと平行してもう1本浅瀬がのびています。今日は、その2つの浅瀬の間に進入して、島の入り江の中まで行くことにします。ここは、干潮の時には水深1〜2フィートなので座礁してしまう場所ですが、今日は13:40が満潮なので大丈夫なはずです。(ヨットのキールの深さは3フィート3インチあります。)

砂洲に沿って北西に向かう途中で、一度うっかりジャイブしてしまい、たまたま舷側に座っていたきれいなポリーAB船員の頭にブームがぶつかってしまいました。でも、たいしたことなくて良かったです。

砂洲がまだ海中で延びているのが水の色で分かります。さらに北西に進み、もうこの辺りなら大丈夫だろうという所で進路を変え、いよいよ浅瀬の間に進入開始です。水没していて見えないけれど、両側とも浅瀬があり、それが途中で少し曲っています。導灯になる物もないので、コンパスの針路を時々見るのと、砂洲からの距離を目分量で測りながら進みます。AB船員は、水の中をのぞきこんで、海底が見えたらすぐに叫ぶことになっています。

だんだんと島本体に近づきました。一番西側に近い所は、海図で干潮時の水深が2フィート、それ以外のところは1フィートとなっているので、西寄りに接近します。島の端に泳げるくらいまで近づいて、アンカーを降ろしました。ちゃんとアンカーは効いているようです。

AB船員2人と私は、曳航してきた小鬼号(穴のない浮き輪みたいな物)とともに、岸まで泳ぎ、島に初上陸しました。島の西端なので、そこから馬蹄型の入り江に沿って東の方へ歩きます。岸辺の水はきれいで、小さな魚がたくさん泳いでいるのが見えます。途中でまた大きな入り江があったので、そこは泳いで渡ります。入り江の反対側の岸はアシが生えているので、きれいなポリーは小鬼号でアシ原の海側を、四本モミはアシの間を歩いて、私は岸に上陸して歩いて探検を続けます。

また細くて長い入り江が東にのびている所に来ました。きれいなポリーの小鬼号は、アシ原の間を水路を探しながら入り江に進入してます。本当の探検みたいです。その入り江はかなり長く、途中からは四本モミと私もまた泳ぎながら奥に進み、とうとう一番奥までやって来ました。そこはまた少し広がって丸いラグーンとなっていました。

ラグーンで上陸して、今度は入り江と反対側の島の岸に沿って、グルーッと島を1周してまた西端に戻りました。

ここは、ラグーンあり、2つの浅瀬に囲まれた水路を延々と入ってくる秘密の入り江あり、アシ原の水路の探検ありで、今までに上陸した島の中で最高に素晴らしいところでした。島の名前は、まだ全員が納得するのがなくて、仮称「ラグーンの島」です。

9月18日(土):2度目の座礁、初のリーフィング

12:00-14:00 6号艇、天気:晴、風向:北西、風力:強風

ハリケーンが通り過ぎた翌日ですが、天気予報では風はおさまり、特に午後は弱くなるとのことで、出航することにします。

でも、まだ時々突風があり、風は安定していません。ラグーンの島(仮称)に向かうつもりでしたが、風がかなり強いので、もっと近くのツバメ島に予定変更です。今日は一番干潮の時に出航したので、ツバメ島からカモメ・ランドやいけにえの島に、浅瀬を伝って、少し泳ぐだけで行けるかもしれません。

ツバメ島へは追い風で近づき、ツバメ島とその西側の浅瀬の間の水路を抜けている時です。突然、ガツン、ガクガク、ガツン、とキールが海底に当たりました。強い風に追われてかなりのスピードで進んでいたので、かなりのショックはありましたが、そのまま浅い所を通り越しました。

またやってしまいました。Ideal 18で2度目の座礁です。今度は止まりはしませんでしたが、やっぱり悲しいです。海図によると、4フィートの水深があるのですが、干潮の時に島に近づき過ぎたようです。

船底のふたを開けて水が浸水して溜まってないか調べなくてはならないのですが、ふたを留めているネジが固すぎて開きません。とにかくこの強風の中、早くハーバーに戻ることにします。

また突風でかなりヒールしました。AB船員にリーフィング(絞帆)を命じます。今日は出航前に一度練習していたので、スムーズに行きました。四本モミが「舵の感じが変わった?」と聞いてきました。確かに気分的には大きく、実際はちょっと、楽になりました。

ハーバーに戻る頃には少し風も弱まったかなあとも思いましたが、でもまた突風がやってきたりして、やっぱり戻ってきて良かったと思いました。

帰航してレポートに座礁した事を報告して、ハーバーを後にしました。

9月19日(日):ラグーンの島、ミノー川を遡り難破船発見

12:15-17:15 6号艇、天気:晴、風向:東、風力:快風

今日は風も落ち着き、一定の強さで東からいい風が吹いています。間切りながら、2時間弱の帆走の後、秘密群島の東端のラグーンの島(仮称)に近づきました。今日は干潮のため、砂洲と浅瀬の間の浅い入り江への進入はやめて、砂洲の外側にアンカーを降ろしました。

気温は20度ちょっとで、泳ぐには寒そうですが、水温はいつもくらいの暖かさがあります。四本モミは泳がないと言って、航海士とヨットに残ることになりましたが、きれいなポリーと私は、2つの小鬼(浮き袋みたいな物)に乗って、砂洲へ渡り、砂洲を伝って島に上陸です。

先週は満潮の時、今日は干潮の時に上陸したので、かなり様子が違います。先週、アシ原の中の水路を通ってラグーンに行った所は、深さ5cmくらいの川になっていました。川の中には小さな魚が無数に泳いでいます。ミノー川と命名します。ミノー川の中を水源のラグーンに向かって遡りながら歩きます。足の周りを魚がパニックに陥ったかのように右往左往して逃げ惑っています。

干潮でもラグーンにはちゃんと水がありました。また小鬼に乗ってラグーンを横断します。奥に何か水面から出ている物にきれいなポリーが近づくと、それは難破船でした。この島は本当にいろんな探検が楽しめて最高です。まだ決まらない島の名前を「ヤマネコ島」にしようかという考えも出ましたが、二人ともまだそれはやっぱりどうかなあと思っていて、決まりません。

小鬼で浅瀬から砂洲へ横断し、砂洲の反対側からヨットへと戻ります。四本モミが、2本のパドルを手に持って、大きな手旗信号を送ってきました。「AHOY」の後は、小鬼に乗って後ろ向きに進むのでもう読めません。島に2時間近くもいたので、四本モミは退屈しきっていました。

いい追い風で、帰りは島からハーバーまでちょうど1時間くらいでした。

9月25日(土):ヤマネコ島で急流下り

12:30-16:45 6号艇、天気:晴、風向:南西→西、風力:快風→強風

今日もラグーンの島(仮称)へ行きました。もうここがすっかり気に入って、この島ばかりです。最初に行った時は満潮、2回目の時は干潮、今日は満潮から2時間くらいたった頃、島に近づきました。砂洲と浅瀬の間の入り江に緊張しながら進入します。島の近くまで来てからアンカーを降ろしました。

9月末だけどまだ暖かく、AB船員2人はそれぞれの小鬼に乗って、私は泳いで島まで渡ります。上陸してからラグーンに向かうと、何と、今日はミノー川が本当の川になって流れていました。満潮の時はアシに囲まれた水路、干潮の時は深さ5cmくらいで小魚がたくさんいる川、今は、満潮をかなり過ぎて水位が下がる途中なので、奥のラグーンから流れ出した水がしっかりした川となって流れています。

AB船員は小鬼にのって、歓声を上げながら急流下りを何度も楽しみます。私も小鬼を借りてやってみました。本当は急流というのはちょっと大袈裟ですが、でもと〜っても面白いです。これだけ楽しめる島なので、結局、この島を正式に「ヤマネコ島」と命名しました。

また奥のラグーンに行って、難破船(「アンモナイト号」と命名)にAB船員達は乗船します。その後、ラグーンの一番奥のまだ行ったことがない岸に上陸すると、カニがたくさんいました。ラグーンの横の土手の上には、黄色い花がたくさん咲いていて、そこにはオレンジ色のきれいなアゲハのような蝶がたくさん舞っています。

あまりゆっくりしていると、どんどん潮が引いているので、入り江から出られなくなってしまいます。1時間くらいでヨットに戻り、アンカーを上げて出航です。いつの間にか、風向きが西よりに変わっていて、何と、狭い入り江を出るのに間切らなくてはなりません。しかも風が強くなっています。両側に浅瀬があるので、海底の見張りをしながら小刻みに間切って、何とか出ました。

風がかなり強くなっているので、今日もAB船員がリーフィングして、ハーバーまで戻ります。最後は四本モミがティラーを握って、間切りながらブイに近づき、ちょうど速度ゼロになるところでブイに見事にたどりつきました。航海士に昇格させてくれと騒いでいましたが、まだまだAB船員でいてもらいます。

9月26日(日):ヤマネコ島脱出危機一髪

12:30-17:30 4号艇、天気:晴、風向:東、風力:快風

今日はいつものよりもずっと大きな特大の海賊旗を上げて出航しました。

今日もヤマネコ島です。昨日より少し遅れて12時が満潮です。行きは向かい風で間切りながら島まで1時間半の帆走でした。また砂洲と浅瀬の間に進入します。今日は、いつもよりももうちょっと入り江の奥まで入ってからアンカーを降ろしました。昨日よりずっとにぎわっていて、たくさんのボートと土人がいます。

またAB船員と私とで島まで泳ぎ、ミノー川とラグーンで遊びました。今日はいつも履いている靴を家に忘れてきてしまったので、石や貝殻の上を裸足で歩かなくてはいけなくて、無茶苦茶痛いです。もう9月末で、気温も下がり、ちょっと寒いので、日を浴びて暖かくなった砂浜に仰向けに寝て、しばらく日向ぼっこして暖まりました。

ラグーンを歩いて1周したりして、かなり時間を使い、ふと気がつくともう3時半、あわててヨットに泳いで戻ります。着いた時は昨日よりも水位があったミノー川が、いつの間にか、昨日帰る時以上に水位が下がっています。急がないと、どんどん潮が下がっているので、入り江を出るのが難しくなります。

大急ぎで着替えてアンカーを上げ出航です。最初は少し砂洲よりに、途中からは浅瀬よりに行くのですが、砂洲に寄りすぎたようで、ススーッとヨットが止まり、座礁してしまいました。潮は下がる一方なので早く脱出しないと大変です。底が見えています。きれいなポリーが海に入って押そうか?といいながら水着の上に着ていた服を脱ぎ始めました。

その時に、そうだヒールさせてみようと思いつき、全員で左舷に座って傾けると、また動き出しました。舵を大きく切って、ぐいーっと右に曲がり、アンカーしていた別のボートの船尾を回って何とか脱出できました。でもまだ安心は出来ません。両舷を手分けして海の中をのぞきこみながら、また浅くなったらすぐに大声で知らせることにします。

何とか無事にそれ以上の座礁もなく脱出できました。やれやれです。でも、いつもこの安堵感が気持ちいいです。風が弱まっていたので、ハーバーまでは、静かな夕暮れの気持ちいいセーリングでした。4時以降の帆走は、本当にいつもとても雰囲気がいいのです。とっても静かで、金色の夕日が暖かくて。

今日はきれいなポリーの舵で、ハーバーに入りブイまで着けました。特大の海賊旗を降ろそうとすると、旗の隅の止めていた金具が取れてしまい、旗が降りてこなくなってしまいました。きれいなポリーがマストにジバーのように登り、クロストリーズに腰かけて、旗を無事に降ろしました。調子にのってクロストリーズの上から景色を楽しんで騒いでいたので、ハーバーの人に注意されてしまいました。

10月2日(土):馬蹄湾で上陸

12:45-16:20 6号艇、天気:晴、風向:東南東、風力:弱〜快風

今日は出航前の準備中に、準備を手伝わずに勝手に釣りを始めた四本モミが、魚を一匹釣り上げました。そんな事は知らずにメンスルを私が上げ始めたら、釣り糸がセールに引っ掛かって、魚と一緒に上がって行ってしまい、また降ろしたりはずしたりしているうちに、魚は弱りきってしまいました。

もう10月。さすがに今日は泳げないだろうからと、東のヤマネコ島はやめて、久しぶりに西へ行くことにしました。目的地は去年一度だけ行った馬蹄湾です。馬蹄湾までまっすぐの追い風なので、左右に岩礁があるけど近道を使うことにします。今日は空気が澄んでいて、遠くまではっきりとよく見えます。

馬蹄湾の入り口付近には、気をつけなければいけない岩礁が3つあります。そのうち2つは干潮の時しか姿を現しません。干潮を2時間程過ぎているので、どちらも見えません。最初、見えてると思った岩は、その奥の別の岩礁でした。途中でそれに気がついてちょっとあせります。このルートで進入すれば大丈夫なはずと思っていたことに急に迷いが出てきて不安になります。進路が少しフラフラします。海図を穴があくほど見ながら馬蹄湾の入り口に近づきます。ここまで来ればもう大丈夫なはずという所まで来て、少しホッとします。

湾に入るとクルーザーがたくさんブイに繋留してあります。その間をぬって湾の奥に入り、Uターンして、ひとつだけある島の近くまで戻り、アンカーを降ろします。水深があり過ぎるかなあと思いましたが、まだ十分にアンカーロープを残したところでアンカーが海底に届きました。水深は大丈夫です。アンカーは効くでしょうか。アンカーロープを手で持って効き具合を確かめます。もし引きずると、後ろのクルーザーに接近し過ぎてしまいますが、これも大丈夫そうです。しっかり効いています。

10月とは言え、今日は晴れて暖かく、水温もまだ冷たくなっていないので、小鬼2つに私ときれいなポリーが乗って、湾を囲む岩の小さな崖への上陸を試みることにします。本当は島に上陸したかったのですが、私有地のようで、侵入禁止の看板がありました。下半身は水の中で、岸まで手で漕いで行って、岩に上陸し、しばらく崖沿いに岩から岩へ歩いたり、岩をよじ登ったりして遊びました。

帰りは弱かった風も少し吹き出して、快調に間切りながらの帆走でした。4時までに戻らなくてはならないのですが、6号艇だけ次の予約が入っていなかったので、遅れても大丈夫だろうと思って20分遅刻したら、桟橋で次の人が待ってました。申し訳なかったです。ブイにつけようとしている最中に、渡し船の人から「桟橋に着けるように」と言われて、あわてて桟橋に向かったので、うっかり船首を風下側に向けたまま桟橋に着けてしまいました。と言っても風は岸の近くで遮られてほとんど無かったから実害は無かったのですが、でも、基本的なミスなので、内心はとてもくやしかったです。

10月3日(日):大波に追われる

8:00-11:00 3号艇、天気:曇後晴、風向:南西、風力:強風→快風

午後は既に予約でいっぱいだったので初めて午前中に乗りました。朝6時半に起きて7時に家を出て8時に出航です。まだこの時間はほとんどボートが出てなくて海を独占できました。

今日は灯台の島の西側から南側に回り、秘密群島を一周するコースです。灯台の島の南側では追い風が強くて、後ろから大きな波が次から次へとやって来てヨットを追い越して行きます。波の高さは1m近くありそうで、かなりの迫力です。真っ直ぐ後ろからの追い風だと、Ideal 18の悪い癖でジブが左右にバタバタするので、斜め後ろから風を受けるようにしながら、時々ジャイブして間切りながらビーチエンド・ブイに向かいました。風下からブイに近づいたので、すぐそばまで鐘の音が聞こえませんでした。

カニ島の東側からいけにえの島の北側へと回り、水路を間切りながらハーバーに戻ります。今日は半分以上はきれいなポリーの舵でした。

ハーバーに戻ってから桟橋で少し釣りをしました。四本モミがさっそく1匹釣り上げます。ハーバーで一番偉くていかにも船乗りという風貌のキャプテン(と彼が呼ばれている事を今日知りました)も桟橋で釣りをしていたのですが、ひょいひょい釣り上げては、うちのバケツの魚を入れてくれました。仕掛けを見せてもらうと、やっぱりエサは使わずに針にビニールのパイプみたいなのが半分かぶったような何の変哲もないのでした。使っていいぞと、釣竿を渡されたので、試しに同じように仕掛けをちょっと離れた所に飛ばして、サーッと釣り糸を巻き込むと、本当に魚が釣れてしまいました。それからは2本の釣竿で交替で15分くらいの間に合計16匹の魚を釣り上げました。家に帰ってから揚げと刺身にしてお昼に食べました。すっごくおいしかったです。

10月11日(月):インチキなレース

15:40-18:30 6号艇、天気:晴、風向:北北西、風力:強風→凪

とうとう今シーズン最後のヨットの日となってしまいました。月曜日がコロンブス・デーの祝日でせっかくの3連休なのに、土曜日は強風でヨットハーバーまで行ったけど釣りをしただけ(成果はスズキを1匹を含む16匹の大漁)、日曜日は一日中雨でした。今日は朝からいい天気です。ところが天気予報では「小型船舶は注意!」という強風です。でも風は実際にハーバーに行ってみないと分かりません。

アメリカ・カナダ旅行中のランサマイト仲間の風笛吹きさんが今日から我家に遊びに来ます。顔を合わせるのは初めてですが、大きな海賊旗とツバメの旗と赤い毛糸の帽子をかぶったきれいなポリーを目印に、空港で無事に落ち合って、ハーバーに直接向かいました。

ハーバーに着くと確かに風は強いですが、何とかなりそうなくらいです。出航前の準備中に四本モミがまた大きな魚を1匹釣り上げたので、航海士は釣りを続けたくて桟橋に残ることにしました。残りの4人で、大きな海賊旗を上げて最初からリーフ(絞帆)して出航しました。大砲のある海賊の島を過ぎ、水路に入り、初めのうちは風は思ったよりないなあという感じでしたが、水路を上る間にだんだん強くなってきました。時々グワーンとヒールします。今日は水路の終点を目指していたのですが、途中からは強風の中を真っ直ぐ風上に間切るようになるので、Uターンして西の灯台を目指すことにしました。

ハーバーの沖を過ぎ灯台に近づくうちに風もおさまってきて、風笛吹きさんの見事な舵さばきで灯台をぐるりと回ってまたハーバーに向かう頃には、風も穏やかになり夕日に照らされたとっても平和ないつもの夕暮れセーリングの雰囲気になりました。

リーフィングを解いてセールを一杯に上げて、途中からもう1隻のIdeal 18とレースとなりました。あちらの方がかなり上手なので、あっという間に抜かされます。あれほどの強風だったのに、ハーバーに入るところでほとんど凪となりました。初めて乗るヨットで風笛吹きさんは強風から凪までいろんな風を経験できてラッキーです。競争相手のIdeal 18は大きく間切りながらとことん帆走して前を進んでいます。こちらはほとんど真っ直ぐ風上に向かいながら、ティラーを忙しく左右に動かしてラダーを「漕いで」推進力をつけつつ、ジブや繋留してあるクルーザーの陰で競争相手に見えない時にはパドルもこっそり使って少しずつ差を詰めて行きました。パドルで水音をたててしまった時には、四本モミが「クワー、クワー、クワー」とペギイのように鳴いてアヒルの真似をしていますが、この辺りの海で実際にアヒルを見たことはありません。

風が落ちたので心配したのか、海賊ジムがモーターボートで出てきました。競争相手もこちらも「大丈夫、自力で帰れるから」と言ってレースは続きます。相手もこちらもそれぞれのブイに近づきました。本当に微妙な差です。船首できれいなポリーが手をのばして、ほんの1〜2秒早くブイの旗をつかみました。「勝ったー!!!」

後片付けをしている間に、日没の大砲がドッカーンと鳴り渡り、皆で仰天しました。このヨットハーバーでは、日没の瞬間に本物の大砲を鳴らして旗を降ろす伝統があります。Ideal 18には航海灯が無いので、日没までに戻らなくてはならないのですが、ギリギリでした。後片付けが終わって迎えに来た渡し舟にはもう航海灯がともっていました。

航海士も9匹も釣り上げて大漁でした。すっかり暗くなった中、家に戻り、風笛吹きさんの滞在する部屋の壁に大きな海賊旗を掲げて「おもてなし」をして、夕食に釣り上げた魚の刺身とから揚げを食べました。


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