アーサー・ランサムの世界 by COOT

Ideal 18
3年目(2000年)の航海日誌

Since : 2000/10/29
Last update : 2002/01/12

Norwalk Islands(ニューヨーク版の『秘密群島』)周辺の海図

クリックすると拡大します。下の航海日誌に出てくる地名(ほんとうの名前と土人の名前)や、いろいろな事件が起きた場所を確かめるのにお使いください。

5月27日(土):水路の終点

14:00-16:30 1号艇、天気:晴、風向:北西、風力:快風〜強風

去年と同じくシーズン最初の帆走は水路の終点に行きました。今日は風が強かったし久しぶりなので、吹きさらしのあまり開けた水面にはまだ出たくなくて、そうすると自然と水路をたどって終点まで行くコースとなりました。

すれ違ったモーターボートの引き波を受ける時に、まだ感覚が鈍っているAB船員どもが船首にいて逃げそこなって、もろに波をビッショリ浴びてしまい大笑いです。

狭い水路を向かい風で間切るのに、まだシーズン初めで海に出ているボートが少ないのが嬉しいです。

ハーバーに戻る頃にどんどん風が強くなってきました。最後にブイを捕まえるのに、まだスピードがあり過ぎたようで、いったん捕まえたのをこらえきれずにまた放してしまい、メンスルを降ろしかけたのをまた上げました。海底の大きなアンカーに固定されたロープに大きなブイがつながっていて、そこからさらにもやい綱がのびていてその先に旗付きの小さなブイが付いているのですが、小さなブイは捕まえたものの、もやい綱を落としてしまったので、今度は大きなブイをまず捕まえて、そこからもやい綱を手繰り寄せなくてはなりません。大きなブイはとっても捕まえにくいので、5回くらいブイに接近しては捕まえそこなうのを繰り返したあげく、ようやくもやい綱を捕まえて係留しました。またいい見世物をしてしまいました。

その後四本モミは少し釣りをしましたが、今日は全く成果なしでした。

6月3日(土):気まぐれな風

6/5 16:00-19:00 1号艇、天気:晴、風向:あちこち、風力:いろいろ

金曜日の夜は、すさまじい突風を伴う雷雨がやってきて、庭の木があんなに大きく揺れるのは見たことがないという風が吹き、とうとう大枝が折れてドシーンと庭に落ちて来たりしました。

翌朝土曜日は、庭や道路は枝や葉っぱが散乱し、近所にもあちこちで木が倒れていて、ケーブルが切れたのかテレビも映りません。まだ風も強いけど天気は快晴。風はだんだんおさまるとのことで、夕方になってヨットに乗りに行きました。

リーフィングして出航。波はあるけど風は思ったほどなく、そのうちにリーフィングも解きました。ぐるりと島を一周するコースを進み、灯台の島の裏側を遠くに見えるビーチエンド・ブイに向かって快調に帆走していると思ったら、急に風が弱まってしまいました。うーむ、一周したいけど、さらに風が弱まったら帰るのがますます大変になってしまうので、そこでUターンして戻ることにします。

今度は西に向かうので、夕方の太陽の光線が真っ直ぐ前方の海をキラキラ照らして、ブイが全然見えません。弱い風の中、ノロノロと進み、ようやくブイを回って北に向かいます。さらに風が弱まったので、水夫どもはオールで漕ぎ始めました。まだハーバーまでは1.5海里くらいあります。ばてた水夫と交替して今度は私が漕ぎます。まっすぐ風上に向かうので、そよ風以下の風の中を間切るよりオールの方がまだ進みそうです。

アレッと気付くと風が真横から吹いてました。いっぱいに引きこんでおいたメンシートを繰り出すと、ちゃんと帆走を始めたので、オールをしまい、やれやれです。風が強くなったり弱くなったりしながらハーバーに近づくと、急に風の方向が180度逆に変わりました。ハーバーの中に係留されている他のヨットも、思い思いの方向を向いています。風向は少なくとも北東→北西→南西→北→東→南と変わり、凪になったり強風になったりしました。

ハーバーに戻ると、桟橋から10mくらい離れた水路の真中で、クルーザーが座礁してました。ちょうど干潮で水深が一番浅い時だったので、キールが海底の泥につかまってしまったようです。被害はないけど、しばらく潮が満ちてくるまでそこに釘付けです。そう言えば、7巻でもそういうヨットがいましたね。

6月10日(土):絶好のヨット日より

12:30-15:30 2号艇、天気:快晴、風向:南西、風力:快風

土曜日は30℃を越える暑さになり、天気も風も絶好です。ぐるりと半時計回りに秘密群島の島々を一周することにしました。今日で今シーズン乗るのは3回目、ようやくちょっと強めの風にもヒールにも不安がなくなりました。

島の反対側に回って追い風になってから、のんびりとお昼の弁当を食べました。ヨットの上で食べるのも今シーズンは今日が初めてです。

最後は真正面から風を受ける水路を間切ってハーバーに戻ります。狭い水路の幅いっぱいに間切るのですが、1度はみ出し過ぎたようで、ちょうど転回中にキールが海底の泥をこすって一瞬止まりそうになり、ヒヤッとしました。今日は干潮に近い時刻だったので、水路をはみ出すと座礁するくらい水深がありませんでした。でも見た目には海が広がっていてどこでも行けそうなので、不思議な感じです。

6月24日(土):そよ風

12:30-16:00 3号艇、天気:快晴、風向:東、風力:弱風

大きな海賊旗をはためかせながら、秘密群島一周をいつもと逆の時計回りでやってみようと思って出航したのですが、今日は風が弱くて、水路を上って土人の島の辺りまで来たところで時間切れとなり、引き返しました。帰りは追い風で思ったより早く戻れたので、今度は水路と反対の西の方へ向かい、海中にニョッキリ建っている灯台を一周して、きれいなポリーの舵でハーバーに戻りブイに着けました。

もうそろそろ泳げそうな気温・水温となってきたので、来週はどこかの島に上陸できるかもしれません。

7月3日(月):気まぐれな錨

12:30-15:30 2号艇、天気:晴後曇、風向:南東、風力:微風

7月4日がアメリカ独立記念日なので、この週末は長い連休です。金〜日と、ボストン周辺に泊りがけで行って、メイフラワー2世号を見たり、ホエール・ウォッチングをしたり、釣り船に乗ったり(1匹も釣れなかったけど、釣れた人から1匹もらいました)してるうちに、早くまたヨットに乗りたくなって、1日予定を切り上げて昨日の夜中に帰って来ました。

今日は天気予報では午後は突風や雷雨の恐れがあるとのことで、空模様がおかしくなったら早目にハーバーに戻れるように遠くには行けません。もう7月になって暑くなったし、泳いで島に上陸もしたいので、ハーバーから真っ直ぐ南に1海里のところにある灯台の島へ行くことにしました。

船尾に小鬼の代わりのチューブを2つ付けて出航。そよ風の中、ノロノロと湾から出ると、海はもう少し風がありました。灯台の島に近づくと、もう学校は夏休みになったので、たくさんのモーターボートがアンカーを下ろしていて土人だらけです。

他のボートからちょっと離れた所にアンカーを下ろし、メンスルも下ろしてたたみました。アンカーが効いているかどうか、しばらく様子を見ていると、どうもどんどん島に近づいているようです。アンカーロープを通して、アンカーが海底を引きずられている感触が伝わってきます。急いでメンスルを上げてアンカーを上げて島から離れようとしますが、まったく風がありません。パドルがすぐに見つからなくてちょっとヒヤッとしましたが、無事にパドルで島からもう少し離れ、またアンカーを下ろしました。

今度は効くでしょうか?まわりのボートや島を眺めながらしばらく様子を見ていると、また流されています。風は弱いし潮流が強い場所でもないのに、海底の質がよくないのかアンカーが効きにくいようです。また移動してもう一度アンカーを下ろしました。まだ駄目です。また移動。今度は島の桟橋に近い所なので、泳いで渡るには楽な場所です。

また様子を見ます。水夫どもは今度こそ島に渡れると思ってアンカーを下ろすたびにまだわりと冷たい水に慣れるように身体を濡らし始めては、また移動の繰り返しなので、十分に水慣れしました。少し島から遠ざかる方向に流されたようでしたが、それも止まったみたいなので、ようやく島に渡ることにします。

小鬼は2つしかなくて水夫どもが使います。小鬼(チューブ)の上に座って足は水の中、腰までは濡れますが上半身は濡らさずに手で漕いで島の桟橋に向かいます。私は仕方なくドブンと海に入り泳ぎます。まだ水はちょっと冷たいですがすぐに慣れました。

本当はこの島に上陸するのに1人$2支払うのですが、桟橋の所にいた係りの人は、私達の奮闘ぶりを見ていたので、親切に無料にしてくれました。(本当はビニール袋にお札を入れてポケットに入れてそれに備えていたのですが、ビニールの中に水がやっぱり入ってしまいビショビショになってたので、好意に甘えることにしました。)

この島に上陸するのは4度目くらいですが、まだ探検していなかった島の北東側の方へ海岸沿いに歩いて行きました。途中で川を発見!さかのぼると干上がりかけたラグーンにつながっていました。あまりきれいではなかったので、また海岸に戻りさらに北東に進むと、これ以上は進入禁止という立て札がありました。もうちょっとで、島から海に突き出した見張り場のような所に行けたのに残念。桟橋に戻る途中で動物の頭の骨を見つけたので、水夫どもは家までそれを持って帰りました。

何となく空模様が不安なのでハーバーに戻ることにします。ヨットまでまた泳いで戻ると、やっぱり少し流されたのか、1そうのモーターボートにぶつかりそうになっています。泳ぎながら、今にゴツンという音が聞こえてくるのではないかとハラハラでしたが、また向きが変わって段々離れて行って、ヨットにようやく泳ぎ着いた時には、かなり離れていました。急いでセールとアンカーを上げて出航。風も出てきたので、ハーバーまでは追い風ですぐに戻りました。先週から、きれいなポリーが最後まで舵を取ってブイにピッタリと着ける係り、私は船首にうつぶせになってブイを捕まえる係りです。今日もうまく行きました。天気がくずれる前に帰航できて何よりです。

7月8日(土):逆回り一周

12:30-15:30 2号艇、天気:晴、風向:北西、風力:強風

今日はヤマネコ島を目指したかったのですが、小鬼を車に積むのをうっかり忘れてきたし、気温もちょっと低めなので、泳いで島に渡るのはなしです。代わりに秘密群島をいつもと逆の時計回りに一周することにしました。

最初からメンスルをリーフィングして出航です。今日は航海士が今シーズン初めて加わって、4人そろって乗りました。ヒール(横に傾くこと)を殺すための体重は4人分もあるのに、時々それでもグワーンとヒールしたのがなかなか戻らないくらい風が強くて緊張します。風で時々艇体がブルブル震えています。波も所々大きかったですが、船首が突っ込んだのは1度だけでした。

航海士は「今日は何か変なことが起こりそう」と言って心配していましたが、きれいなポリーはこういう風が好きみたいです。

何ごともなく、無事に一周してハーバーに戻ってきました。

7月9日(日):朝の静けさ

8:00-11:30 1号艇、天気:晴、風向:南南西、風力:微風

今日は朝一番のヨットです。ハーバーにも一番乗り、出航も一番乗り。風はそよ風で、とっても静かです。四本モミは風邪気味なので、今日は私ときれいなポリーのふたりだけです。

出航してハーバーに係留されているたくさんのクルーザーの間を抜けて行く間、風に吹かれたハリヤードがマストにあたる音が、まるであちこちで鐘が鳴っているように聞こえます。

朝日が水面を照らしてキラキラ光っているのが、クルーザーのよく磨かれた艇体に反射して、魔法の星のようにきらめいています。

朝、昼、夕方、それぞれヨットに乗る時間によって、海の雰囲気はとっても違います。朝と夕方はとっても静かです。朝は銀色にキラキラしているし、夕方は金色に包まれています。

海岸沿いに西に向かうことにしました。風は弱いけど、一定の強さと方向を保っているので、ヨットはゆっくりながらも確実に進みます。まだ人気のないビーチやマリーナをいくつも通り過ぎ、馬蹄湾の近くまでやってきました。馬蹄湾のある大きな岬から先にはまだ行ったことがありません。今日は岬の突端を回って、その向こう側の未知の世界をのぞいてみることにします。

ところが、岬の突端のすぐ側まで来たところで、急にぱったりと風が止んでしまいました。ここから何キロも漕いでハーバーまで帰るのではどれだけ時間がかかるものやら分かりません。岬の向こう側はあきらめて、Uターンしてハーバーに向かって漕ぎ始めました。パドルが2本あったので、舵をロープで固定して2人で漕ぎます。暑くなってきました。

2キロくらい進んだところで、ほんのそよ風が吹き出したようなので、あとはゆっくり帆走してハーバーまで戻りました。

7月16日(日):救助訓練

8:30-11:30 1号艇、天気:晴、風向:南東のち北東、風力:弱風

土曜日は朝から一日中雨でしたが、Ideal 18に乗っている人が夏に1回集まって勢揃いするヨット・ハーバーでの夜7時からのパーティの時には何とか雨も止んで、外で食事が出来ました。日没時(雲で太陽は見えませんでしたが)に大砲がドカーンとなり、だんだん暗くなってホタルも飛びました。雲にも切れ間が出来て、そこから顔を出した月は満月。(その後、月食になったのかどうかは不明です。皆既月食があるなんて知らなかった〜!)水面に反射した月へのびる道もきれいでした。

翌日日曜日、朝起きてすぐに天気予報をチェックすると午前中は大丈夫そうなので、水夫どもをたたき起こして出発。ほとんど凪の中をノロノロと出航しました。湾から外に出るとちょっとは風があったので、先週行き損ねた西の方の岬の向こう側に再挑戦です。

今日は風も弱いし広々とした所を帆走していくので、海に落ちた人を拾う練習をすることにします。なまこ型のフェンダー(防舷物)が人ということにして、不意に海に投げ込みます。最初は四本モミが落ちたことにして、私ときれいなポリーでジャイブして風下から「人」に近づいて救助します。次は私が落ちたことにして、AB船員2人だけで救助してみます。

4回くらい練習しましたが、弱々しい風でジャイブも簡単だったし、回りに障害物も他の船もない所だったので、皆無事に救助されました。

ところが、岬の突端のすぐ近くまで来たところで、今日も時間切れ。またむなしくUターンしてハーバーに戻ります。帰りは向かい風なので風を感じて気持ちいいです。(追い風の時は風を感じないので、ただジリジリと暑いだけ。)

左舷船首に見えてたブイが、らくらくその右側を通過すると思っていたのに、見る見る間に近づいてきて船尾のすぐ側を通り過ぎました。そのブイはかなりのスピードで波をたてて進んでいるように見えます。どうも右から左へかなりの潮流があるようで、そのスピードに皆でビックリしました。去年か一昨年か、同じ海域で「今日は灯台になかなか近づかないなあ。」と不思議に思った日があったのですが、その時もきっと潮流が強かったのだ思います。満月で大潮だから、いつもに増して強かったのでしょう。

ちょうど満潮時にハーバーに戻ってくると、今まで見た中で最高に高い位置に浮き桟橋が上がっていました。

7月22日(土):紅海横断エジプト人

12:00-16:00 5号艇、天気:晴、風向:北西、風力:快風→強風

今日はいよいよ久しぶりのヤマネコ島上陸をする条件が整いました。天気も良く、泳げるくらい暑いし、風もあるから遠くのヤマネコ島まで行けるし、16時が満潮なので潮がだんだん上がってくるから、水深の浅いヤマネコ島の湾の中に入っても大丈夫そうです。

12時ピッタリに出航し、気持ちいい横風を受けて1時間くらいでヤマネコ島までやって来ました。風が湾の中にもろに吹き込む向きなので、行きはいいけど帰りは両側が浅瀬の狭い中を間切って出るのは怖いから、湾への進入はあきらめて、島の外側でアンカーすることにします。

島から北西にのびる砂洲にじわじわ近寄って、アンカーを下ろします。う〜む、ちょっと島に近づき過ぎのようなので、もう一度やり直そうかとアンカーをまた上げるように言いかけた途端に、艇がアンカーに引き戻されて急に止まりました。今日はアンカーがバッチリ効いているようです。すぐ風下20mも離れていない所に陸があるので、アンカーを引きずり出したらアウトです。風も強いししばらく様子を見ます。とにかくアンカーはしっかり効いているようなので、これでよしとします。

航海士が本を読みながら艇に残ってアンカーワッチをしている間、子供達は小鬼(大きな浮き袋みたいなの)に乗って、私は泳いですぐそばの岸に上陸し、砂洲を歩いて、また海に入り、湾の反対側まで250mくらい泳いで渡ります。そこから「ミノー川」を遡って奥の「ラグーン」を目指し、難破船「アンモナイト号」に再会しました。さらに一番奥の「ひよこの上陸地」まで行って、たくさんのカニを見ました。

まだ潮が満ちてくるので、ミノー川は逆流しています。子供達は小鬼に乗って「川上り」を何度か楽しみました。小魚がたっくさんいて、脅かすと一斉に空中にジャンプして逃げるので、一面の水が沸き立ったかのようになります。四本モミは水の中に寝転んでじっとしていると、魚が体中をつっついてくすぐったいと言ってました。

そろそろ時間です。また湾を泳いで横切って、砂洲を行こうとすると、200mくらいの間、途中で水没しています。紅海横断エジプト人になって、そこを渡りました。腰より下の深さでしたが、海底は見えるので歩きやすいです。ティティ達は、泥っぽい水で底も見えなくてずっとずっと大変だったんですね。でも、ちょっと彼らの気分を味わうことが出来ました。

帰りはさらに風が強くなっていたので、出航してしばらくして、リーフィングしました。強風の中を洋上で漂いながらのリーフィングはちょっと大変でしたが、AB船員達が頑張りました。少し不安を感じるくらいの風でしたが、無事にハーバーに16時ピッタリに戻りました。

7月23日(日):3度目の挑戦

08:15-12:00 3号艇、天気:晴、風向:北西→南西、風力:弱風

朝は凪のことが多いのですが、今日もノロノロと出航です。また性懲りもなく馬蹄湾のある大きな岬の向こう側をのぞくために、西へ向かいます。

ハーバーのある湾を出てから岬の近くまでは弱いながらもいい風が吹いていたのですが、岬の近くでまた凪です。四本モミだけ海に入り、ノロノロのヨットで引いたりして遊びます。

また少し風が出てきました。何とか岬の突端を越えて、ようやく反対側を見ることが出来ました。ちょうど干潮の時なので、あちこちで岩が出ています。水路を示すブイを双眼鏡で確認しました。

時間切れです。水路への進入は、今度またもう少し時間がある時まで取っておくことにしました。

帰りはいい風に吹かれてハーバーに戻りましたが、最後にブイを捕まえるのに、ブイまで1mばかり届かなくてやり直し。また届かなくて、またやり直し。ところが、またまた届かなくて、もう1度やり直して4度目でようやくギリギリ捕まえました。ああ恥ずかし。

8月5日(土):四本モミ、カニ島初上陸

12:00-15:30 3号艇、天気:晴、風向:南、風力:快風

今日はきれいなポリーが風邪気味なので、四本モミと2人だけです。

ハーバーを出ると、いつもに増して波が大きいです。風は特に強くないのに不思議です。

気持ちのいい風にふかれて水路を上り、ビーチエンド・ブイとカニ島の南端を重ねる「導灯」を使って、カニ島といけにえの島の間の水面に進入し、アンカーを下ろしました。アンカーはしっかり効いています。

今日は暑くなって、ここまで来る間も早く泳ぎたくてしょうがなかったので、さっそく水に入り、カニ島まで泳いで上陸です。四本モミは去年は島からかなり離れた所にアンカーしたので泳ぐのをパスしたから、カニ島に上陸するのは初めてです。

「犬小屋」(本当によく似ています)をのぞき、島の反対側にまわると、たくさんのカモメとウがいました。海岸にカモメの巣とヒナを発見。親が警戒しているのでそれ以上近づかないようにしました。

帰りは水路の一番狭いところで大きな船とすれ違ったので、島とその船の間の狭いところを細かく間切って迫力ありました。その後、大きな3本マストでガフ・リグの帆船ともすれ違いました。

8月19日(土):敵陣視察

12:15-15:30 2号艇、天気:晴、風向:北、風力:快風時々突風

AB船員たちが一度最初から最後まで自分たちだけでやってみたいと言っていたので、今日は私は一切何もしないことにします。きれいなポリーと四本モミが2人だけで準備をして出航し、馬蹄湾のある大きな岬の向こう側に向かいます。そこへ行くのは4度目の挑戦です。

岬を回りこむ頃になると、風が強くて時々突風もあって、うまく間切りながら風上のハーバーに向かえません。今日はやっぱり無理かなあと思いつつ、さらに西へしばらく向かってからUターンします。リーフィングしたいのですが、この2号艇は、トッピング・リフトが短くて、それを継ぎ足すのにリーフィングに必要なロープが代用してあるので、リーフィングするのはあきらめます。

そこでやっぱり舵を私に替わって、間切りながらハーバーへの進入を試すことにしました。沖の赤いブイと、ハーバー入口の緑のブイを結ぶ線より西へ行くと岩礁があるので、その手前で転回し、反対側の岬の西側の岸に近づき過ぎてもまずいのでまた転回します。

ここの水路には、センターラインを示すような赤白のブイが並んでいます。水路の両側には、ブイにたくさんのクルーザーが係留してあります。その間を縫いながら奥へ進むと、Ideal 18が帆走してました。へえ〜、こんな所まで来たの人が他にもいるんだとビックリしてると、何とそのヨットは、このハーバー所属のものでした。水路の奥には立派はヨット・ハーバーもあって、そこでUターンして、今日のところは戻ることにします。

Ideal 18もいくつかブイに係留してありました。うちのハーバーとここのハーバーとで、Ideal 18同士で戦争したら何と面白いことでしょう。敵陣に乗り込んで分捕るとか、「ハ!ハ!」と書いた紙にどくろと骨のぶっちがいの絵を描いてマストに貼りつけておくとか、そんな遊びが出来るランサマイトがここにいたらいいのですが。そんな人がいるかどうか分かりませんが、明日は宣戦布告しに、またここに来ることにしました。

8月20日(日):宣戦布告

08:10-11:10 3号艇、天気:晴、風向:北北西、風力:快風後強風

今日は朝一番に出航です。天気予報では風が強くなるとのことですが、朝のうちはまだそれほどの風ではないようです。また私は何もせず座ったままAB船員2人で出航し、昨日に続いて西の方の岬の向こう側に向かいます。

1時間余り帆走して、また岬を越える頃にはかなりの強風になってました。この辺りは特に風が強くなる地形なのかもしれません。でも昨日のような突風があまりないのは助かります。また私に舵を替わり、間切りながらハーバーへの進入開始です。

朝なのでまだヨットもボートもあまり出ていません。Ideal 18は全部ブイにつながれたままのようです。でも、敵は岸の木陰から偵察しているかもしれません。大きな海賊旗をスルスルとマストに上げて、ハーバーの奥のヨットクラブの前まで行ってからUターンします。出航準備中のクルーザーの人や、すれ違うボートの人が海賊旗を見ています。ハーバーを出たところで旗を下ろしました。

真後ろから強い風を受けてハーバーを離れます。一度ナチュラル・ジャイブをやらかしてしまいましたが被害なし。強い風とジャイブしないようにするのに気を取られていたので、今考えると後ろを振り返らずにハーバーを離れてしまいましたが、ひょっとしたら、海賊旗を見た敵が追跡してきていたのかもしれません。

岬を回ってうちのハーバーへ真っ直ぐ向かいます。どんどん風が強くなるので、ハーバーの手前で今日はリーフィングしました。間切りながらハーバーへ進入し始めると、湾の中だからか風が落ちてきて、リーフィングしてるとかなり風上に向かいにくいです。結局またリーフィングを解きます。そしたら、急に風がまた強くなったのですが、そのまま無事ブイにつなぎました。

9月9日(土):【番外編】カヤックで島巡り

13:00-15:00 カヤック、天気:晴、風力:凪

天気もいいし久しぶりにヨットに乗れると思っていたら、今日はヨット・クラブの選手権大会のレースに全てのヨットが使われるので駄目とのこと。そこで、シー・カヤック(カヌーみたいなの)を水路を遡る途中にある公園で借りて海に出ることにしました。

航海士は今日は別の用があるので、2人乗りと1人乗りを1つずつ借りて出航です。最初は1人乗りに四本モミが乗ります。こちらは足で動かす舵がついています。まずは満潮の時は姿を消す浅瀬に上陸。そこで四本モミときれいなポリーが交替し、次はツバメ島を目指しました。2人乗りの方がエンジン(パドルで漕ぐ人)が倍ある分速いです。

ツバメ島に上陸した後はカモメ・ランドに上陸(四本モミは初上陸)し、カモメ海峡を渡っていけにえの島にも上陸しました。3つとも今年は初めての上陸です。カヤックなので小回りが効くし浅瀬を気にしなくていいのでこういう探検には向いています。

次は1人乗りに私が乗って、土人の島を回ってヤマネコ島に向かう途中にある大きな岩に岩礁を抜けて向かい、そこにも上陸。その岩は鳥の糞で真っ白になっていて臭いので「臭い岩」と命名しました。

1人乗りはきれいなポリーに替わって、隣の島にも上陸。ここの石にはうっすら海草がついていて、それがまるで毛皮のように見えるので「毛皮石島」(けがわいしとう)と命名。

その隣のちょっと大きめの島は、家が建っているのでたぶん上陸は許されてなさそうです。そこには犬がいました。「番犬の島」と命名。その島から長く続く砂洲の突端に少しだけ上陸して、その島にも足跡をしるしたことにしました。

雷が来そうな空模様になってきたしそろそろ時間なので戻ることにします。途中の海上できれいなポリーと交替して四本モミが一人乗りに乗って出発点に戻りました。

初めてシー・カヤックに本格的?に乗りましたが、思ったより安定していて転覆の心配はほとんどありませんでした。また機会があれば、もっと長く借りてヤマネコ島に行ってみたいです。

9月10日(日):さすがジム・ブラディング

09:15-12:00 2号艇、天気:快晴、風向:東、風力:快風

朝6時に起きたら濃霧注意報が9時頃まで出ているし風もほとんどなさそうだったので、また少し寝て、8時過ぎに家を出ました。ハーバーについた時にはすっかり霧もなくいい風が吹いていて、やっぱりもっと早くくれば良かったです。

今日はあまり時間もないので一番行きたいヤマネコ島へは行けません。一番よく行くお決まりコースですが、水路を上りツバメ島のそばにアンカーを降ろして、今日は子供達2人だけでツバメ島まで小鬼で渡って上陸し、ちょうど満潮だったので、土人の島まで紅海横断エジプト人をして往復です。

ハーバーに戻り、今日は四本モミが一人だけで最後にブイに着けると言い出しました。いつもは舵を取る人、ジブをたたむ人、ブイを捕まえる人の3人がかりなのですが、それを全部ジム・ブラディングみたいに1人でやると言うのです。私もまだそれはやったことありませんが、1人でIdeal 18に乗ろうと思ったら必要なことです。

四本モミが舵を握り、右斜め後ろから風を受けてブイを右手に見ながら通り過ぎたところで風上にグーッと艇を回し、風下からブイに近づきます。タイミングはとても良かったようで、スピードが落ちてゆっくりブイに惰性で近づきます。四本モミは舵を離れて船首に急いで行ってまずジブをたたんでいます。その間に進路が少しずれてブイから離れた方向に向いてしまいました。残念。私が舵を握ってちょっと方向をかえて四本モミがブイを捕まえました。

1人ではやっぱり難しそう。皆でジムはやっぱりすごいなあと感心しました。私も出来るかどうか分かりませんが、今度試してみたいです。

9月23日(土):大波に転覆

10:30-12:00 5号艇、天気:曇、風向:南、風力:快風

先週は土日とも風が強くてヨットに乗れなかったので、今週はぜひ乗りたいと思っていたのですが、午後から雨とのこと。雨が降る前にちょっとだけでも乗ることにしました。

風が強そうなので最初からリーフして出航です。いつ雨が降り出すか分からない天気なので、遠くには行けないからハーバーから3キロくらいの海の中に建っている灯台を1周してくるだけにしました。

波がかなりあります。天気がよくないので出ているヨットも少ないなあと思っていたら、レースでもあるのかカタマラン(双胴船)がたくさん出てきました。体をヨットの外に大きく乗り出して、すごいスピードで走っています。こちらに向かってきたのが1ついたけど、こっちは右舷開きで優先権があったので、そのまままっすぐ進みます。

灯台のそばで大きな船と行き交い、その特別大きな引き波を受けて揺られて、四本モミが大喜びしていたら、その同じ波を受けてさっきのカタマランが転覆してしまいました。1人は海に放り出されたのか、カタマランの方に向かって泳いでいます。大きな船は心配してか、スピードを落として様子を見ているようです。時間はかかりましたが、そのうちに無事に起き上がりました。

雨が降り出す前にハーバーに戻り、また一度ブイを捕まえそこなってやりなおしましたが、無事に帰航です。もうこっちはすっかり秋で紅葉も始まりました。あと何回乗れるかなあ。

10月7日(土):グレート・ヤーマスへ

12:00-15:00 1号艇、天気:晴、風向:西、風力:微風〜快風

朝の気温は10℃以下、昼間も15〜6℃となって、もうヨットに乗る人もぐっと減りました。

微風の中を出航し、最初は秘密群島を1周するつもりでしたが風が弱いので水路の終点を目指すことにします。追い風を受けて音もなく静かに滑るようにヨットは進みます。

水路の一番狭い所あたりから、だんだんいい風になってきました。先月カヤックを借りたボートハウスの前を過ぎます。もうシーズンは終わりなのか、今日は天気のいい週末なのに閉まっているようです。

水路の終点にはいくつか大きな橋が架かっていて、船を通すために開くようになった橋もあります。(開いたのを見たことはありませんが。)そのまわりはにぎやかな街になっていて、マリーナもたくさんあります。四本モミが、ここを「グレート・ヤーマス」にしようと言い出して、めずらしく皆が賛成して名前が決まりました。

いつも何か新しい名前をつける時は、四本モミはあまりセンスのよくない候補ばかりあげるので、きれいなポリーや私が却下してばかりいました。

帰りは向かい風ながらも快適な風になったので、往きの半分の時間でハーバーに戻りました。

10月8日(日):最後のセーリング

13:45-15:00 1号艇、天気:晴、風向:西、風力:強風

今日が今シーズン最後のセーリングです。晴れてるけど、昨日よりもさらに一段と気温が下がって昼間でも10℃です。

風が強いので最初からリーフィングします。今日はなぜかブームが随分下の方にあって、うっかりすると頭を打ちそうです。前にリーフィングした時は、こんなにブームが下がってはなかったと思うのですが、よく分かりません。トッピングリフトを少し詰めたけどブームはあまり上がりませんでした。

出航して湾から出ると波がかなりあります。秘密群島一周コースを目指して最初は風上に向かいますが、時々波しぶきをかぶって、子供達はさっそく濡れてしまいました。波がだんだん大きくなってきて、いまに船首が波に突っ込んでどっぷり海水をかぶりそうです。子供達はこういうのが面白いと言って喜んでますが、服を濡らしたまま気温10℃の中で強風に吹かれていたらすぐに風邪をひいてしまうでしょう。

Uターンして、ハーバーに戻ることにしました。今日の風は時々突風まじりの嫌な風です。強風の時はブイをつかまえるのも緊張しますが、うまくつかまえて無事に帰航してホッとしました。

1時間あまりの短いセーリングでしたが、これで今シーズンはおしまいです。今年は数えてみると17回でした。ヤマネコ島に上陸出来たのが1回だけだったのがちょっと残念ですが、天気の悪い週末が多かった夏にしては思ったより乗ってたなあという感じです。

10月14日(土):本当の最後の航海

12:00-15:00 5号艇、天気:晴、風向:南西、風力:快風

先週で今シーズンのヨットは終わりのはずだったのですが、暖かくて天気も風もいい土曜日だったので、ひょっとしたらまだ乗れるかもと思ってハーバーに行ってみました。6艇あるIdeal 18のうち、4つは既にブームやメンスルが取り外されていましたが、まだ2艇は無事(笑)だったので、ヤッター!と思いながら出航です。

波も風もありますが、先週ほどではありません。最後の航海に一番ふさわしい秘密群島一周コースを行くことにします。まず風上に向かって間切りながら赤いブイを目指し、灯台の島の反対側に回りこみ、追い風を受けて遠くのビーチエンドブイへ向かいます。

追い風になるとヒールも風も波しぶきもおさまるので、のんびりお昼を食べながら進みます。斜め後ろから波が追いかけてきては追い越して行き、そのたびにヨットがぐわーんと波に持ち上げられていい気持ちです。

ビーチエンドブイを回って灯台に向かう途中で、ジブ、ステースル、メンスル、ミズンスルを全て張った緑色の艇体のほれぼれするようなケッチとすれ違い、お互いに手を振ってあいさつです。(「ケッチ」というのは、2本マストで後ろのマストの方が低い帆船です。でも、後ろのマストが舵よりも後ろにある場合は「ヨール」と呼びます。)

風が少しおさまってきて、私が一番好きな強さの風になりました。水路に出てからは、真正面からの風なので間切りながら進みます。かなりの強さの潮にも逆らっているようで、水路の幅いっぱいに何度も間切りながら一番狭いところをいつもよりも時間をかけて通り抜けます。

初心者らしきクルーザーを追い越します。なかなかスピードが出なくて潮に流されているのか水路の一番狭いところで立ち往生していて、とうとうエンジンを使ってました。

ハーバーまで、別のクルーザーと、後ろから追い上げてくる大きなカタマラン(双胴船)と、それとなくレースになります。今日のIdeal 18は、ベストの風を受けて速いです。

シーズン最後にとっても気持ちのいいセーリングが出来てラッキーです。いつも以上に丁寧に片付けてIdeal 18を後にしました。

帰りにマリーンショップに寄って、きれいなポリーがもうすぐの誕生日のプレゼントに選んだ「アンカー」を買いました。


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